久しぶりに東海と飲みに来ている。
としみつはあなたの事を好きなのは良いが、信用出来ないそうで。
お酒の入ったグラス片手に机に伏せながらいじけている。
俺があなたの彼氏だったら、絶対信用出来る。
理由は明確で、あなたは真っ直ぐだし正直な子で浮気なんて絶対しない、そんな子。
と項垂れている。
と思ったら叫びだし、迷惑だからと東海にあなたを呼んでもらうことに。
でも俺は内心気が気じゃない。
もし、あなたが俺の事を好きでいてくれたら、としみつから奪うかもしれない。
いや、好きでいてくれなくても俺は……。
何分かして来たあなた。
その姿はやっぱり綺麗で可愛くて胸が痛くなる。
思わず零してしまった言葉。
聞こえていなかったらしい。
聞こえてたら少しでも近付けていたかな?
でも聞こえて欲しくないから、伝えないでおこう。
伝えたいけど、今じゃない。
自分に自信が出来たら、いつか伝えるから。
俺が言いたかったセリフをトミーはサラッと口に出す。
トミーみたいになれたらな…。
それは俺が言いたい言葉。
だけど、そんな容易くトミーみたいに言えるわけもない。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。