かなりの頭痛に悩まされ、部屋から出れない。
扉のノック音と開ける音が聞こえてそちらを向くとあなたがいた。
笑顔が消えて心配顔になる。
体温計持ってくると言って走って出て行った。
戻ってきたと思ったら、冷えピタをおでこに貼って体温計を入れてきた。
ピピッという音が聞こえて、取り出すと38.0℃。
こんな熱久しぶり。
出ていこうとするあなたの腕を掴む。
触れる唇。
こんなんしたらあなたに移るかもしれねぇじゃねぇか。
走って出て行くあなた。
あなたとカンタの叫び声が聞こえる。
それに思わず笑ってしまう。
少し経つと眠ってしまったらしい。
物音が聞こえて目を開ける。
お粥を作って持ってきてくれたらしい。
ベッドに座って口を開けると、ポカーンとしている。
味は薄めに作ってあるけど、めちゃくちゃ美味しい。
頭を撫でると猫みてぇにクシャッと笑う。
おでこにキスすると擽ったそうにしている。
とボソッと呟くあなたの手を握ってまた眠りにつく。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!