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第4話

歪んだ幸せ
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2019/10/11 08:26
これは、私が小学校に入学し、新しいランドセルと新しい環境への期待を背中に背負いながら、桜が舞う頃の話。

4時間目までの授業が終わり通学路を友達と走って家まで帰る。

友達と遊ぶ約束をして、友達と分かれた。

私:「ただいま!」

玄関の扉を開けると同時に靴を脱ぎ捨て、リビングにランドセルを置いた。

まま:「おかえり!」

そこには笑顔のままが私達の帰りを待っていた。

私:「公園に遊びにいってくる!」

私はままに一緒に遊ぶ友達の名前を言いながら公園へと遊びに行った。

まま:「行ってらっしゃい」
ままは笑顔で私を見送って手を振った。

そして、友達と約束の公園に集合して鬼ごっこをして遊んだ。

3時間ほど公園で遊んだ。

お日様が夕日に代わり始める頃、5時のチャイムがなる。

私:「じゃあまた明日な!」
友達:「ばいばーい!」

私と同じマンションの違う棟に住む友達は各自家に帰った。

私:「ただいまー!」

家に帰り手を洗ってリビングに行くと、ままはご機嫌そうにお化粧をしていた。

私:「今日どっかいくの?」

まま:「ちょっとお出かけしてくるから、いい子で待っててね」

ままは笑顔で私とJ子に笑顔でそう言った。
ままはお出かけをする前は凄くご機嫌で、鼻歌を歌っていた。

最近ままはよくお出かけに行く。
大体は夜の8時頃に出かけ、早い時は夜中の3時頃に帰ってくる。

でも、私達はままがいない時間は嫌いじゃなかった。
むしろ少しわくわくした。


ままが準備をして出かけると、私達の幸せな時間が始まる。

私とJ子は、1番上の姉【M子(身体障害を持っている)】を寝かしつけ、パソコンとプレステーション2の電源を入れる。

ままが夜に出かけた日はいつもこうして過ごしている。
家にある食べ物を広げ、ゲームをし私達は夜中の2時までこうして過ごした。

段々とままが帰ってくる時間が遅くなると、私達の起きている時間も遅くなった。
朝日が出てくるまでゲームをしている時もあった。

私達は、広げたご飯やジュースを片付け今日は夜中の1時頃に眠りについた。



夜中の3時。

?:「Hahaha. It’s R子? I’m hungry!! Hmmmm.....」

誰かが陽気に話しかけている声で目が覚めた。
目を開けると、酔っ払って帰ってきたままが私達を起こしていた。

ままは時々何を言ってるかわからない。
でも、凄く楽しそうに私達に話しかけた。

私達もままの言っている事が面白くて一緒に笑っていた。

ままはお腹がすいたと言っていたので、キッチンへ向かいチャーハンを作った。
ままは美味しそうに食べていた。
そんな姿を見て私も幸せになった。


2時間ほど私は真っ暗な部屋で笑い続けた。


しかし、朝に小学校の出席確認の電話が来る。
ままが出かけた日は電話に気づかず、昼まで寝るのが日課だった。
学校は週に3回程行くが、ままが夜中に帰ってきた日はずっとぼーっとしながら授業を受けた。
たまに保健室で寝る事もあった。

でも、こんな時間が私達はとても幸せでずっとこうしていたいと思った。
毎日楽しくままと笑って過ごしている事が何よりも幸せだった。


まま:「ねんねしよっか」

ままは優しい笑顔で私達にそう言って私達を抱きしめた。

暖かい温もりの中私は目を閉じた。



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