第2話

豆電球の影に見える恐怖
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2019/10/03 23:57
深夜3時頃。
「ガシャン!」
勢いよく開いた玄関の扉の音と共に目が開いた。

親︰「お前らおきろぉ!!!」

甲高い声で親は私と姉【J子】を呼ぶ。

私と姉は急いで体を起こし、眠い目をこれでもかと開きながら豆電球がついた薄暗いリビングへ向かい、目の前に映る物を一生懸命頭の中で理解しようとした。

親は酒臭くたどたどしい声に怒りを乗せ、私達に浴びせた。
行きつけのスナックで何か嫌な事があり帰ってきたのだろう。最近はよくあることだった。

薄暗い部屋に仁王立ちした親と、黒くてさびた鉄のバールを持った手の影に今にも殺されそうな恐怖が見えた。

親︰「お前らここに並べ!正座しろぉお!」

私と姉は親の前で言われるがままに正座した。

親は、理不尽な愚痴をただただ叫び続けた。

親︰「おまえらなぁ!!これで殺されたいんかぁ!お前らがいるから金がなくなるんや!この金食い虫共が!謝れ!!」

私達は目の前の恐怖から、ただ謝る事しか出来ない。

私 姉︰「ごめんなさい」(額を床に付け土下座をする)

手に持つバールを、感情が高ぶる度私達の目の前で振り回した。
私達の人生は今日で終わるかもしれないとこの時間に何度も考えた。
しかし、恐怖と同時にこんな毎日が終わると開放感さえも感じた。


その後、私と姉は2時間程土下座の姿で奇声を浴び続けた。
土下座で謝らせる事が最近のマイブームなのか、私の誕生日の日にトイレまでの廊下で、5時間土下座をさせられた事もある。



しばらくすると、親は落ち着き満足した様子で少しの沈黙の後、

親︰「よし、寝ろ」

と一言だけ発しベットへ向かった。
その後、何事も無かったかのようにいびきをかき気持ちよさそうにベットで眠りについた。

私達は親が寝たのを確認し、自分達のベットへ向かった。
今日も生きる事が出来た。
そんな安心感と共に眠りについた。

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