第5話

1つ目の災難
371
2019/07/10 07:17
男の子は、信号が赤だということに気づかずボールを追いかけた。その横には...トラックが男の子の方を向いて勢いよく走ってくる。トラックの運転手も男の子に全く気づいていなかった。このままじや事故に、なってしまう!そう思った瞬間、智くんが私と握っていた手を離し勢いよく道路に飛び出した。それには、トラックの運転手もさすがに気づき
『パッパー!』
と大きくクラクションを鳴らした。智くんは、男の子の背中をドンッ!と叩き男の子を道路の外に出した。男の子は、無事助かった。が、智くんはトラックに当たってしまった。

それが1つ目の災難だった。


私は智くんがトラックにぶつかる瞬間目を閉じた。怖かった。すごくすごく怖かった。おそるおそる目を開けると...智くんが道路に倒れていた。私はすぐに携帯電話を取り出し119番に連絡し救急車を呼んだ。救急車は、すぐに来た。智くんと私は救急車に乗り込み病院へ向かった。


チッ、チッ、チッ、チッ...。時計が秒を刻んでいる。時刻はPM10:12と表されている。智くんは、病院に来てから5時間ずっと手術室に入っている。智くんの両親は、手術室の前のイスに座って待っている。私は...待合室で待っている。私も手術室の前で待ちたい...。智くんのことが心配で心配なのに...。けど手術室に行くと、智くんのお母さんに追い返される。だから、いくら心配でも待合室しか居場所がなかった...。私は、少し薄暗い待合室の長椅子に座って一人でいる。私は、辛くて悲しくて涙が出そうになったそのときに
松本 潤
松本 潤
あなたちゃん!
と私の名前が誰かに呼ばれた。私は呼ばれた方を向いた。そこには...潤くんがいた。
松本 潤
松本 潤
智は?
あなた
あなた
手術室のな...か...。
私はもう涙をこらえることができなかった。潤くんはそっと私にハンカチを渡して
松本 潤
松本 潤
大丈夫?あなたちゃん
と聞かれた。私は
あなた
あなた
うん。ごめんね。潤くん...。
と答えた。潤くんは
松本 潤
松本 潤
なんで俺に謝るんだよ。俺は大丈夫だから。
と優しく言ってくれた。
松本 潤
松本 潤
じゃあ、俺、手術室の方行くけどあなたも行こ?
潤くんは続けて私に「手術室に行こ?」と誘ってくれた。もちろん私も一緒に行きたい。けど、また追い返されることは分かっていたから
あなた
あなた
私は待ってるね
と答えた。潤くんは
松本 潤
松本 潤
えっ?行かないの?なんで?
と問いかけられた。私は、なんでと言われても...と思いながら
あなた
あなた
う~んと、さっき行ったか…ら?
と嘘をついた。潤くんは
松本 潤
松本 潤
なんで疑問形なんだよ‪w‪wんじゃあ、一人で行ってまーす
と笑って手術室へ向かった。私は
あなた
あなた
うん。行ってらっしゃい。
と笑顔で答えた。




第6話に続く...

プリ小説オーディオドラマ