『タッ、タッ、タッ、タッ、タッ、タッ・・・』
私が走る音が病院の廊下に響く。
『ガチャ』
良かった!私は「退院決まっておめでとう」と言いながら、この頃智くんが大好きな店のプリンを渡した。
智くんは、しょぼんとしながらゆっくりとプリンを口に運んだ。
『コンコン』
智くんは、『コンコン』とノックされたドアを『ガチャッ』と開けた。
ドアの向こうには、隣の部屋の優裏ちゃんが、松葉杖に支えられながら立っていた。
優裏ちゃんは、そう言いながら智くんに松葉杖を見せた。智くんは、いつも私に向けていた笑顔を優裏ちゃんに向けて
と言った。
はー・・・。こうゆう、智くんと他の女の子が一緒に居るところを見ると、智くんは私の彼氏ではないんだな~と改めて感じてしまう。
もし、記憶を失くす前の智くんなら・・・優裏ちゃんに
なんてことを、言わずに
と興味無さそうに答えて、
とか、なんとかいいながら、私のことばっかり見てくれるんだろうな~。
でも、今はそんな優しかった私だけの智くんでは無い・・・。
まぁ、もとから智くんは誰のでもないけどね・・・。
私が、智くんに目線をやると智くんは、優裏ちゃんと何かを話してる。
私は、どうやら空気らしい・・・。とゆうことは、帰ろうかな?
うん。帰ろう。
そう思い、智くんに
と伝えた。
記憶を失くす前の智くんなら
なんて、言ってくれそう。それも可愛く・・・。
でも、現実の智くんは、
だった。現実の智くんは、厳しい(´TωT`)
私は、とぼとぼと歩きながら家へ帰った。
『ポキポキ』
帰り道、私のかばんから、可愛らしい着信音が聞こえた。
私は、誰だろう?と思いメッセージを開いた。
📩------メッセージの内容------📩
あなた。看病してくれない?
何も出来ない。
📩------メッセージの内容------📩
とじゅんくんから来ていた。
えっ!何も出来ないって!
私は、とりあえず薬局で、薬を買い、潤くんの今食べれそうなものを買って潤くんの家に行った。
✄------キリトリ------✄
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。