滑り止めの高校に受かった
合否結果が学校に届いて担任に「職員室まで取りに来て」と言われて行った
担任は私が来たのを見るやいなや結果の入ったファイルを持ってきて押し付けるように私に渡した
「これ。届いてたから。」
それだけだった
目も見ないし、頑張ったねとかもない。
クリアファイルごと渡してきたから
これクリアファイルごともらっちゃっていいんですか?って聞いたら
「いいよ、はい。それじゃ。」みたいな感じでさっさと済まされた
人が必死に頑張ってるのにさ。
自分の学校に行かないと知ったらすぐこうだ。
大人は酷い。
大切な生徒の一生が決まるかもしれない受験なのになんでこんなに冷たいんだよ。
そんな担任に比べてあなたのその先生の名字先生は私の担任でもないのに、受験することになってからもずっと変わらず接してくれて…先生のありがたみとほかの先生の冷酷さを同時に知った
次の日
あなたのその先生の名字先生の授業があった
授業が始まる前、よく喋る男子の一方的な無駄話にちゃんと相槌を打ちながら聞いてあげてる先生に「先生!合否結果来たんよ!」と言った
男子の話を遮って先生が「いけた?」って聞いてきた
「難関無事合格だった!!」
私がそう言うと
ほっと力が抜けたような顔をして
「よかったね。」
「まだ本命は終わってないけど、とりあえずおめでとう。」
にっこり笑って言ってくれた
中学校の先生で、合格した私に「おめでとう」と言ってくれたのはあなたのその先生の名字先生だけだった
この人はさすがだなって思った
上に媚びることしか出来ないおっさん達とは違って
ちゃんと一人一人を見ていてくれる
どんなに先生たちに冷たくされようと、あなたからの「おめでとう」で全部吹き飛ぶ
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。