第17話

カウントダウン
364
2018/06/02 07:55
何で…何で私がこんな目に…!
私はただの世界で平凡な生活を送りたいだけだった。楽しくもなくつまらなくもない。
単純にそれが好きだったのだ。
別にこのゲームで死んだっていいや。
そんなことを思う時もあった。
けど、蘭さんとか及川と出会って私の考えは変わった。
特に昔からでも無い、同じネットのゲームで出会った人達。
蘭さんが電話を切る前に言った言葉。
『綾梨ちゃんが来るまでゴール地点には入らないから!』
最初は言いたいことだけ言ったな…とか思ってしまったが、よく考えてみると、私が着くことが出来なかったら一緒に死ぬと言っていたんだよね…
ナツキが言ってた、終わる人は終わる。
おそらく、これでChinon本社に辿り着いても次のstageが用意されているのだろう。
ここまで来たならやってやる…!
全部、クリアして犯人に謝らせてやる…!
絶対に生き残ってる皆に謝ってもらう…!
あとは…冬稀……
何処にいるの?ちゃんと生きてるよね?
こんな所で死ぬの?
様々なことを考えながら全速力で走り抜ける
ナツキ
ナツキ
残り5分です!!
ヘッドホンからのカウントダウン。
千川綾梨
千川綾梨
い…急げ…っ!!
とにかく走る、足が疲れても止めない。
鬼は追いかけてくるけど、私のスピードにはついてくることが出来なかった。
ナツキ
ナツキ
あと、1分!!
千川綾梨
千川綾梨
……あ…!
視界に私に手を振る蘭さんを捕らえた。
隣には及川もいる。
溝を見ると、多数の血痕があり何となくだが橋のような形をしていた。
渡る途中でコケてしまう。
コケたことにより呼吸は乱れ、足の力が抜けもう動けない。震える手でヘッドホンを外す
ナツキ
ナツキ
残り1分です!!
街の奥の方からChinon本社に向かって段々と爆発が起きていく。
神田蘭
神田蘭
ちょっ、急がないと…!
及川澪月
及川澪月
確かに僕達が死んじゃう〜
及川がひょいと簡単に私を担ぐ。
及川澪月
及川澪月
蘭さん行ける〜?
神田蘭
神田蘭
うん!
そして、蘭さんと私を担ぐ及川が走り出す。
階段は長く300段くらい。
2人はどんどん上がっていく。
おそらく、私が上がるより速いんじゃ…
残り10秒のところで扉に辿り着く。
神田蘭
神田蘭
ついた…っ…!
蘭さんが扉を開け、素早く及川も入ると蘭さんは扉を閉める。すると、扉の向こうで振動が起きた。
及川が私を床に降ろす。
千川綾梨
千川綾梨
はぁ…はぁ……あ、りがと…
及川澪月
及川澪月
いえいえ〜
辿り着いた部屋にいたのはナツキ、そして
十数人の男女しかいなかった。
机にはお菓子や飲み物が並べられてる。
千川綾梨
千川綾梨
え…
3000人以上いたよね…?
まさか、三日間で生き残ったのはたったのこれだけなの…?
……改めて思うけど…ほんと有り得ないよ…

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