第8話

重岡side
1,217
2019/03/09 13:33
濱ちゃんに声をかけられた時、ほっとした。



正直、もう限界。





濱ちゃんは俺が前買ったのと同じ、はちみつ入りのドリンクを買ってくれた。



あったかくて、甘い。


唾を飲みこむのも辛かった喉も、ちょっと楽になった。







重岡
俺・・本番までに完成するかなぁ・・・


気付けばはいていた弱音に、自分でも驚く。




濱田
せやなぁ、今のしげじゃ、無理かもしれへんな

返ってきた言葉にもっと驚く。


濱田
しげ、こんなしんどい時にやっても、明日には全部抜けてるで。

1回ちゃんと休んで、それから頑張ろう?

な?って肩を優しく叩かれて、


でも、


重岡
・・でもっ・・もう本番まで時間ないっ・・・休んでる暇なんか・・・っ
言ってる途中で景色が滲んで、上手くしゃべれなくなった。


濱田
しげの悪い癖や、なんでも一人でやろうとせんでええねん。

神ちゃん、振り教えるん上手やろ?頼ったらええねん。

俺やって他のみんなやって、ちゃんと力になれるで?
背中を優しくさすられて、優しい声が響く。





濱田
ええか?今日はもう帰ろう
そう言われて、素直に頷いた。





自分でもちゃんと、もう今日の自分では無理なのはわかってる。


でも、焦って、

絶対いいコンサートにしたくて。








肩を支えられて部屋へ戻る時、

濱田
濱ちゃん・・・お願い、帰る前に、1曲だけ。

そう頭を下げた。

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