ちょうど1年前くらいから、しげの病気は進行してた。
俺らには内緒で、病院に行っては強い薬をもらって、
必死に隠していた。
先生は、「本当は言いたくないんやけど」って、僕らを見た。
しげが言ってたって、
ーお願いやから、7人でコンサートさせてほしい。
ーみんなで夢を叶えさせてほしい。
って。
検査で疲れて、苦しそうに顔を歪めて眠るしげの周りに6人。
涙が止まらなかった。
しげとずっと一緒にいたい。
しげとこれから、いろんな景色をもっと見たい。
いろんな感情があふれて、
止められなかった。
しげが俺に気持ちを打ち明けてくれた日、
いや、
それよりずっと前から、しげの病気が悪化してることには気づいてた。
でも、俺らの前では笑顔しか見せないしげに、
大丈夫やって、思ってて。
目を覚ましたしげは、泣いている俺らを見て戸惑って、
でも、やっぱり笑った。
何も言わず、ただ不器用に笑ってた。
前を向かなきゃ。
あとどれくらいなんて、考えたくもない。
でも、
こいつが、
しげが、
俺らといれて幸せだったって、
言ってくれるように。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。