第23話

重岡side
1,130
2019/05/01 14:07
コンサートは終盤。


盛り上がる曲では、疲れてしまった俺を、濱ちゃんがずっとおんぶして移動してくれた。




「しげのパートとか位置とか覚えてへんからな」

そう言ってた流星も、ちゃんと俺の立ち位置を覚えてくれてた。





幸せな時間って、なんでこんなあっという間なんやろ。




そんなこと思いながら、最初にステージに出た場所と同じ位置に戻る。







最後のあいさつのコーナーで、一人一人感謝を伝えて、最後は僕の番。







あぁ、どうしよう、



また頭の中真っ白になってもうた。








でも、さっきとは違う。






あふれそうな何かでいっぱいで、






慌ててメンバーを見た。








ああ、違う、メンバー見たんは間違いやった。


こういう時は、上を向かな。








最初の方から涙もろかった照史も、濱ちゃんも、目の周りが赤い。


泣かないって決めてた神ちゃんも、必死に涙を拭ってる。








俺が今ここにいれるのは、



メンバーのおかげ。





ここにいる、みんなのおかげ。






メンバーを見てしまったせいで滲んだ涙を拭って、前を向いて深呼吸した。

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