スタンバイの位置に着くころには、開演5分前。
位置に着くと、小瀧が「ちょっとええかな」と僕らを呼んだ。
戸惑いながらも、小瀧の声にみんなすぐに円になる。
小瀧に言われて「えーっ」と焦っていると、神ちゃんに「はよ」って急かされる。
なんで急に、そう口をとがらせながらも深呼吸をした。
戸惑いながら、話し出す。
肩を組んで、みんなが俺の声を聞いているのが何とも言えず、ちょっと恥ずかしくて俯いた。
そう言って、顔を上げた。
言いながら笑うと、微笑むみんな。
みんなを見ると、丁度真正面にいる照史の目が誰よりも潤んでて、思わず言葉が出なくなってしまいそうで、
ぐっと涙を堪えて上を見た。
そう声を出すと、照史はもう泣いてた。
俺は、
センターらしいこと、
なんかできたんかな。
みんなを、センターらしく引っ張ってこれたんかな。
どうやったんやろう。
せや、
7WEST、初めての円陣も、
こうだったな。
不安だった。
不安だらけで、
でも、
周りを見れば、
隣を見れば、
ー「俺らしだいや!!!」
みんながいつもいた。
センターは、メンバーに支えられて成り立つもの。
俺はいつだって、
一人じゃなかった。
不安になった日も、
苦しかった日も、
楽しかった日も、
いつだって俺は一人じゃなかった。
いつだって、
今日も、
俺の隣には、最高の仲間がいる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。