昼ごはんが終わると、年下4人は散策に行くって外へ出て行った。
残された俺らは休憩。
荷物を整理しながら、出てきた花火セットを取り出して照史が笑う。
特にすることはなくて、テレビ見てるだけなんやったら4人について行けばよかってんけど。
なんか、
3人でおりたくて。
言いたいことが、
3人ともある気がして。
照史がコップの中を見つめながらそう聞いた。
照史に言われて、淳太はしばらく黙ってたけど、小さく頷いた。
淳太は、今朝先生と話したことを、ゆっくり話しだした。
でも、俺も照史も、驚きはしなかった。
多分、今回が最後なんやろうなって、どこかで分かってたから。
そう言うと、2人は顔を上げた。
うんって頷いた、照史の瞳が、涙でゆらゆら揺れていて、思わず目を逸らす。
照史が、声を震わせて上を見上げた。
ーこんなこと言ったら、あいつらショック受けてまいそうやから
そう続けている間に、外で4人の声がして、照史は慌てて涙を拭った。
ずっと冷静だった淳太は、頷いて、俺らを見た。
そう言うと、「さー夜の準備や!」ってこたつから出た。
4人がいると、わっと騒がしくなるこの感じ、
さっきまでの涙は消えて、
「あーうるさ」そんな俺の一言に、照史もくすっと笑ってた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!