キッチンのカウンター状になっている席に、座る二人。
なんで返事したのかは自分でもわからないが、唐揚げの下準備を始める。
油も用意し、カラッとあげた。
短縮しすぎじゃないかって?いいの!!
ジーッ…という効果音(?)をつけたくなる程、莉犬くんとるぅちゃんは唐揚げを見つめた。
パァァァと顔を明るくさせて、鼻歌なんかを歌いながら取り皿を出し始めた。
るぅちゃんは逆に無言だ。
黙々と箸を用意し始める。
大きいお皿、取り皿、小皿。
色とりどりで、大小さまざまなお皿を出してくれた。でも、それ以上に存在感を発揮している物がある。
私の目はそれに釘付けだった。
じゃーん、と目の前に突きつけてくる。
特注なのかイチゴの模様が入っていてとても愛らしい。
私は話についていけずに、ひたすらポカンとして二人を見ていた。
簡単に言うならそれを作るところは条件つきらしい。
微妙に引っかかる物言いだったが、気にせず料理を続けることにした。
唐揚げを試食させてあげるを忘れていたので二人の口に放り込んであげた。
ハフハフと口の中で熱を逃がす莉犬くん。
それに対し、るぅちゃんは涙目になりながら真っ赤っかで唐揚げを食べている。
熱に耐えて、なんとか食べたいらしい。
今更恥ずかしくなってきた。
気を紛らわすようにして手を動かす。
手伝うよ、と二人も不器用なりにいろいろとやってくれた。
おかげで、かなり早く仕事が終わった。
るぅちゃんは微笑み、莉犬くんは変態組を…殴りに行った。うん←
…えげつない悲鳴が聞こえたのは、気のせいだろう。疲れてるんだな、多分。
さとみくんところちゃんにタンコブタワーが出来ていたのは、見なかったふりをした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!