第17話

意志
441
2019/02/11 03:27
潮目 渚
女王様。あなたにその玉座は
相応ふさわしくない。
穂鷹 愛梨
だから何よ!!
私はそ言われて、深呼吸をしてから女王に告げた。
潮目 渚
...その玉座から、退いてください。
声は震えていないだろうか。

怖いと悟られていないだろうか。

ちゃんと、堂々しているだろうか。


...やっと、言えた。


ずっと、ずっと、女王に言いたかった。

「退いてください」って。

やっと、言えた。


でも、これからが問題...
穂鷹 愛梨
ふざけるな!!
穂鷹 愛梨
誰が退くか!!
穂鷹 愛梨
生意気言ってんじゃねぇーぞ!!
穂鷹 愛梨
私を誰だと思ってる!!
穂鷹 愛梨
女王だ!女王様だ!!
穂鷹 愛梨
女王に逆らうなどあっては
ならない!!
女王は声を荒げてそう言った。

私は、それにひるむことなく自分のスマホを
手に取る。
潮目 渚
...それは、これを見ても言えるの?
私はそう言いながら女王に、ある動画を見せた。

...万引きの現場だ。
穂鷹 愛梨
う..そ...
穂鷹 愛梨
撮られてたの...?
女王はそう言いながら後ずさる。

けど、私は攻撃を止めない。
潮目 渚
これを先生に見せたらあなたは
少年院行きも有り得る。
私がそう言うと、女王は何かが切れたように
私に飛びついた。



ガタン!



私の周りにあった机が倒れる。


私は、女王に押し倒される体勢になった。






















そして次の瞬間、首が絞まる感覚を覚えた。
























女王が、私を殺そうとしている。



















潮目 渚
っ...!!
穂鷹 愛梨
死ね!死ね!死ね!
女王はそう言って、私の首を絞める手の力を
どんどん強くする。
クラスメイト
クラスメイト
あ、あれ、やばくね?
クラスメイト
止めた方が...
クラスメイト
でも、俺らまで殺されるかも...
周りがざわつき始める。

けど、誰も私を助けない。


よく見てみれば、教室の奥に和人がいた。






















美野木 莉乃
ねぇ...!あれ、ヤバいよ!
美野木 莉乃
早く助けないと!!
美野木はそう言って、前に一歩踏み出す。

けど、俺は美野木の手首を掴んでそれを止めた。
美野木 莉乃
ど、どうして⁉放してよ!!
俺は首を横に振る。
美野木 莉乃
何で⁉渚ちゃんが危ないんだよ⁉
分かってる。分かってるんだ。

けど...
桐島 和人
渚が言ったんだ。
「助けないで」って。
美野木 莉乃
でも...!
桐島 和人
お前は渚の思いを踏みにじるのか?
桐島 和人
渚はまだ、諦めていない。
桐島 和人
もちろん、俺だって止めたい。
桐島 和人
凄く、凄く、辛い。
美野木 莉乃
だったら...!
園風 雨音
莉乃。止めて。
園風はそう言って、美野木を見つめた。
美野木 莉乃
どうして⁉
園風 雨音
じゃあ、逆に聞くよ。
園風はそう言って、深呼吸をしてから美野木に
告げた。
園風 雨音
今の渚の目を見て、莉乃はまだ
そんなこと言えるの?
園風はそう言って、渚を見た。
美野木 莉乃
え...?
美野木は園風につられて、渚を見る。

俺も、渚を見た。


渚の目は、真剣だった。


あと少しで、死ぬかもしれないのに。

なのに渚は、一歩も怯んでいなかった。

本当は怖くて、怖くて、仕方がないはずなのに。
美野木 莉乃
どう..して...
美野木は目を丸くしていた。
桐島 和人
あれが、渚の気持ちなんだ。
桐島 和人
強い、強い、自分の意志が
渚を動かしている。
桐島 和人
渚はそういう奴なんだ。
俺がそう言うと、美野木はゆっくり口を開いた。
美野木 莉乃
...うん。知ってる。
知ってる。けど、知っていたくなかった。

美野木は、そんな顔をしていた。
桐島 和人
渚を、信じよう。
俺がそう言うと、園風と美野木はゆっくり頷いた。


















頑張れ。負けるな。渚。

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