私はそ言われて、深呼吸をしてから女王に告げた。
声は震えていないだろうか。
怖いと悟られていないだろうか。
ちゃんと、堂々しているだろうか。
...やっと、言えた。
ずっと、ずっと、女王に言いたかった。
「退いてください」って。
やっと、言えた。
でも、これからが問題...
女王は声を荒げてそう言った。
私は、それに怯むことなく自分のスマホを
手に取る。
私はそう言いながら女王に、ある動画を見せた。
...万引きの現場だ。
女王はそう言いながら後ずさる。
けど、私は攻撃を止めない。
私がそう言うと、女王は何かが切れたように
私に飛びついた。
ガタン!
私の周りにあった机が倒れる。
私は、女王に押し倒される体勢になった。
そして次の瞬間、首が絞まる感覚を覚えた。
女王が、私を殺そうとしている。
女王はそう言って、私の首を絞める手の力を
どんどん強くする。
周りがざわつき始める。
けど、誰も私を助けない。
よく見てみれば、教室の奥に和人がいた。
美野木はそう言って、前に一歩踏み出す。
けど、俺は美野木の手首を掴んでそれを止めた。
俺は首を横に振る。
分かってる。分かってるんだ。
けど...
園風はそう言って、美野木を見つめた。
園風はそう言って、深呼吸をしてから美野木に
告げた。
園風はそう言って、渚を見た。
美野木は園風につられて、渚を見る。
俺も、渚を見た。
渚の目は、真剣だった。
あと少しで、死ぬかもしれないのに。
なのに渚は、一歩も怯んでいなかった。
本当は怖くて、怖くて、仕方がないはずなのに。
美野木は目を丸くしていた。
俺がそう言うと、美野木はゆっくり口を開いた。
知ってる。けど、知っていたくなかった。
美野木は、そんな顔をしていた。
俺がそう言うと、園風と美野木はゆっくり頷いた。
頑張れ。負けるな。渚。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!