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第6話

言えない三角関係
雲一つない空は、快晴。


───カキーンッ

金属バットがヒット音を鳴らして、良く澄んだ青に、白いボールが一瞬光って見えなくなった。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……すごい、満塁ホームラン
空高く拳を突き上げた瀬戸くんに、心臓のもっとずっと奥の方が、キューッと甘く疼く。
上西 凛乃
上西 凛乃
一聖〜〜〜!!!
すごいな。

瀬戸くんの活躍に嬉しそうな凛乃先輩の声は、遠く離れたマウンド上の瀬戸くんに届いていて、

凛乃先輩に向けて、嬉しそうにガッツポーズを作る瀬戸くんに、今度はズキッと胸が痛むのを感じたけれど、気付かないふりをした。
***

【練習試合 終了後】

6対2で練習試合に勝利した瀬戸くんたち野球部は、帰りのバスへと荷物を積み込んでいる最中らしい。

私たちチア部は、野球部用の大型バスの横に並んで停められたミニバスに乗り込んだ。

窓際の席から、野球部たちをぼんやり目で追っていた私は、
谷原 芽衣
谷原 芽衣
───!!
窓越しに、瀬戸くんと目が合った気がして、ひとり背筋が伸びる。

……いや、まさかね。
この距離で目が合うわけないか。

そう思っていたのに、
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……や、やっぱり
荷物を積み込み終えたらしい瀬戸くんが、チア部のミニバスに向かって駆けてくるのが見えて、ドッドッドッと心臓が一気に加速する。

そのまま、私の座っている席まで来ると、外から窓をコンコンと叩かれる。

"あ" "け" "て"

口パクでそう告げられて、私は慌てて窓を開けた。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
瀬戸くん、お疲れ様……!
あの、野球は詳しくないんだけど
瀬戸くんのホームラン凄かったよ!
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
ありがとう
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
今回の相手は、ここら辺じゃ
有名な強豪校だったから
まさか勝てるとは思ってなくて
谷原 芽衣
谷原 芽衣
強豪校に4点差……!
すごいよ、瀬戸くん!
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
これも、谷原の応援のおかげ?
フッと口角を上げた瀬戸くんに、トクンと心臓が波打つ。

凛乃先輩に向ける笑顔には程遠いけど、瀬戸くんが自分に笑いかけてくれている……ただそれが嬉しかった。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……違うよ!
瀬戸くんたち野球部の
努力が導き出した結果だよ!
これでもかってくらいの笑顔で「おめでとう」を告げた私に「練習試合で大袈裟」と瀬戸くん。

だけど、その口元は緩みっぱなしで、"嬉しさ"が全然隠せていなかった。
***

【帰りのバスの中】
小早川 紬
小早川 紬
にしても、いつの間に
瀬戸くんと仲良くなったの?
谷原 芽衣
谷原 芽衣
別に、今までと変わらないよ
小早川 紬
小早川 紬
嘘だ〜!
さっきも窓コンコンッてされて
ふたりで仲良く話してたじゃん
谷原 芽衣
谷原 芽衣
それは……ほら。
応援してたから
小早川 紬
小早川 紬
応援!?
それって、練習試合の?
隣の席の紬に、瀬戸くんとの仲を説明しろとせがまれて、必死に言い訳を考える。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……そういうこと!
だから、さっきもわざわざ
結果報告に来てくれただけ
本当は"練習試合"じゃなくて、瀬戸くんの"恋"を応援してるんだけど。

ごめん、紬。

紬に嘘をついてしまった心苦しさを感じながらも、さすがに本当のことは言えなかった。
小早川 紬
小早川 紬
な〜んだっ!
芽衣の恋に進展有りかと思ったのに
小早川 紬
小早川 紬
またしてもジンクスが
有名になっちゃうね〜
今度からお金もらえば?
儲かりそう!
谷原 芽衣
谷原 芽衣
はいはい!
バカなこと言わないの〜
小早川 紬
小早川 紬
は〜い……。
よし、学校まで一眠りだ。
芽衣〜、着いたら起こして?
谷原 芽衣
谷原 芽衣
りょーかい、おやすみ〜
……前より瀬戸くんと話す機会が増えて、自然と目で追ってしまうことも増えた。

それはつまり、前よりずっと、私自身が瀬戸くんに惹かれているっていうことだ……。

瀬戸くんの恋を応援するって約束したのに、瀬戸くんの、凛乃先輩に対する想いを目の当たりにすると胸が苦しくなるのも、そのせい。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
言えない……
───この気持ちだけは、絶対に言えない。