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第15話

凛乃先輩と最後のチア
───チア部の夏が終わった。
上西 凛乃
上西 凛乃
芽衣〜〜〜
谷原 芽衣
谷原 芽衣
凛乃先輩〜〜〜
夏の大会は惜しくも金賞こそ逃したものの、見事、銀賞に輝いた。

もらったトロフィーは間違いなく私たちの汗と涙の結晶で、普段厳しいコーチの目にもうっすらと涙が滲んでいるのを私は見逃さなかった。
上西 凛乃
上西 凛乃
ありがとう。
時にはキツいこと言って、
傷つけたこともあったと思う
上西 凛乃
上西 凛乃
それでも、こうして付いてきてくれて
最後まで楽しくチアさせてくれて
本当に本当に感謝してる!
ギューッと強く私を抱きしめる凛乃先輩に、目頭が熱くなって、堪えようとすればするほど鼻の奥がツーンとして追い打ちをかける。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……凛乃、先輩っ
上西 凛乃
上西 凛乃
泣かないでよ〜!
こっちまで泣きたくなるでしょ
谷原 芽衣
谷原 芽衣
もっと一緒に
チアしたかったです……
上西 凛乃
上西 凛乃
こら!
芽衣は笑顔が売りなんだから。
笑ってくれなきゃ困るよ
上西 凛乃
上西 凛乃
……次は受験勉強だ。
芽衣に応援してもらったら
私も志望校に合格する?
ニッと笑って私の頬をつねる凛乃先輩は、最後まで優しくてどこまでも凛々しい。

こんな綺麗な顔で言われると、本当に"芽衣ジンクス"でどうにかしてあげたくなってしまうから困る。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
凛乃先輩なら
私のジンクスなんかなくても
ぜーーったい大丈夫です!
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……受験が落ち着いたら
チア部にもまた顔出してくださいね?
上西 凛乃
上西 凛乃
ありがと!!
絶対、チア部に行くから。
その時はまた一緒にチアしよ!
谷原 芽衣
谷原 芽衣
約束ですよ!
チア部として凛乃先輩とチアをするのは今日が最後。

だけど、きっとまた一緒にチアできる日が来る。
その日までにもっともっと上達して、凛乃先輩に胸を張れる後輩でいたいな。

───凛乃先輩、ありがとうございました。
***

【翌日】
水上 桔平
水上 桔平
……今日、サッカー部
急遽練習休みになってさ
水上 桔平
水上 桔平
それで、チームのヤツらに
放課後ボーリング誘われてて……
朝、学校までの道を並んで歩く桔平が、申し訳なさそうに手を合わせる。

そんな桔平に、何を言いたいのかすぐに分かった。

近所で不審者が出てるとは言え、桔平と一緒に帰らない今日に限って出くわす……なんてこともないだろうし。

運動部って、部活ばっかりの毎日だから、たまの休みくらい遊びに行きたい気持ちもよく分かるし。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
行ってきなよ!
私の送迎より桔平の予定を
優先してくれて大丈夫だよ
今日は、部活終わったらなるべく早めに帰ろっと。
***

【部活終わり】
小早川 紬
小早川 紬
じゃあね〜!芽衣!
気をつけて帰るんだよ!
谷原 芽衣
谷原 芽衣
うん、紬もね!
紬と校門で別れて、今日は久しぶりに1人の帰り道。
夏場は日が長くてまだ明るいけど、"不審者"という言葉が脳裏を過ぎって、つい早足になる。
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
……谷原?
不意に背中から聞こえた声。
ゆっくり振り向けば、練習着姿の瀬戸くんがいた。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
瀬戸くん……?
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
谷原も、家こっちなの?
谷原 芽衣
谷原 芽衣
あ、うん!
え?もしかして瀬戸くんも?
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
俺もこっち。
……今日は1人?
谷原 芽衣
谷原 芽衣
そうなの。
久しぶりに1人だと長く感じる
凛乃先輩が部活を引退してから、当たり前だけど瀬戸くんが部活終わりに体育館前で待ってることはなくなった。

とはいえ、進路に向けての活動で凛乃先輩が遅くまで学校に残ってる時は、必ず一緒に帰っていくのを見かける。
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
……確かに、
1人だと長く感じるのは分かるかも
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
俺で良かったら送ってくよ
谷原 芽衣
谷原 芽衣
え?……でも、
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
どうせ、同じ方向みたいだし
瀬戸くんがいてくれたら、不審者に狙われる確率も多分グンッと減って、家までの道のりも短く感じるはず。

それに、瀬戸くんに送ってもらえるなんて……夢みたいな話だ。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……あの、ありがとう。
じゃあお言葉に甘えて
私の返事に、ふわっと笑った瀬戸くんは「じゃ、行こうか」と私の横に並んで歩きだした。

……もう少しだけ、と。
私の心が瀬戸くんとの時間を求めている。