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第7話

ありったけのエール
いよいよ夏休みを迎えて、季節は夏本番。

太陽はもちろん、太陽から熱を吸収したアスファルトがジワジワ熱を放って、逃げ場のない暑さにぐったりしてしまう。
チア部 コーチ
チア部 コーチ
おーし!
各自、部屋に荷物運び入れたら
体育館に集合だぞ〜
チア部全員
はい!
そんな中、私たちチア部は近所の宿泊型スポーツ施設へ2泊3日の合宿に来ている。

しかも───。
野球部 監督
野球部 監督
荷物運び入れたら
そのまま着替えて
グラウンド集合〜
野球部 全員
はいっ!
……そう。

今回の合宿は、チア部だけではなく、野球部との合同合宿なのだ。

もちろん、凛乃先輩と瀬戸くんも一緒なわけで、勝手に気まずさを感じている。

瀬戸くんのことを応援したいって気持ちは嘘じゃないのに、凛乃先輩に優しく笑う瀬戸くんを見ると、胸が軋んで苦しくなる。

……この合宿は、そんな中途半端な自分の気持ちに蹴りを付ける、良い機会なのかもしれない。
***

【夕食時】

今日の食堂メニューは栄養満点の肉じゃが定食。

ごはんになめことワカメのみそ汁。
主菜の肉じゃがに加えて、副菜が高野豆腐とひじきの炒め物に、ピーマンのおかか和え、さつまいもの煮物まで付いている。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
ん〜!
美味しい〜!!
美味しくて温かいご飯は練習で疲れた体に沁みる……。
小早川 紬
小早川 紬
あ〜、もうくったくた〜
谷原 芽衣
谷原 芽衣
ほんっと……
朝から晩まで動きっぱなしで
さすがにヘトヘトだね
隣の席でご飯を頬張る紬は、もう既に半分寝ている。

今日は合宿初日ってこともあって、コーチが張り切っていた上に、もうすぐやってくる夏の大会に向けて、かなりハードな練習が行われた……。

いっそ、ご飯食べながら寝てしまいたい気持ち、よく分かるよ、紬……。

上西 凛乃
上西 凛乃
お疲れ!
私も一緒に食べていい?
谷原 芽衣
谷原 芽衣
凛乃先輩、お疲れ様です
小早川 紬
小早川 紬
っ……!
おっ疲れ様です!
凛乃先輩が、私たちの向かいの席に座った瞬間、寝落ち寸前だった紬が飛び起きるから、ついおかしくて笑ってしまった。
上西 凛乃
上西 凛乃
紬、大丈夫?
今日は早く休んで体力回復させないと
合宿終わるまでもたないよ〜
小早川 紬
小早川 紬
凛乃先輩〜
お手柔らかに……
上西 凛乃
上西 凛乃
私たち3年は次の大会で引退だから
悪いけど、練習は手加減しないよ?
小早川 紬
小早川 紬
ひぇ〜〜っ
そう。
もうすぐ、凛乃先輩たち3年生は引退。

最後の大会で賞を取らせてあげたい。
そのために、私たちもしっかり頑張らないと。
上西 凛乃
上西 凛乃
あ、一聖!
早いね、もう食べたの?
凛乃先輩の視線の先を辿れば、食べ終わった食器が並んだおぼんを手に、チームメイトたちと歩いてくる瀬戸くんを見つ けてドキッとする。
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
凛乃、みそ汁は飲むなよ
上西 凛乃
上西 凛乃
え?みそ汁?
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
きのこ、ダメだろ。
前にきのこ食べたせいで
全身に蕁麻疹が出たの忘れた?
上西 凛乃
上西 凛乃
あ、本当だ……気づかなかった!
ありがとう、一聖
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
やっぱ凛乃には
俺がいないとダメだな
幼なじみであるふたりの絆は、私が思ってるよりもずっとずっと強くて、分かってはいたけど、私なんかが入る隙間はこれっぽっちもない。

……早く瀬戸くんに対するこの気持ちを封印しなくちゃ。それで、瀬戸くんの恋を全力で応援するんだ。
***

───夜。

眠れずに部屋を飛び出した私は、外の空気を肺いっぱいに吸い込んだ。
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
……谷原?
突然、名前を呼ばれて振り向けば、すぐ側のベンチに座る瀬戸くんの姿に目を見開く。

勝手にドキドキ高鳴る胸は、まだ気持ちを封印しきれていないらしい。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
瀬戸くん……!
こんな時間に何してるの?
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
なんか、寝れなくて。
……谷原は?
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……私も
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
座れば?
言いながら、私が座るスペースを空けてくれた瀬戸くんに頷いて、私もそっとベンチに腰を下ろした。
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
……俺さ、
谷原 芽衣
谷原 芽衣
うん?
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
凛乃に告白しようと思う
谷原 芽衣
谷原 芽衣
……っ、
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
凛乃に俺のこと意識させんのは
気持ち伝えてからでも
遅くないかなって思ってさ
俯きながら話す瀬戸くんは、自信なんて感じさせない。だけど、強い凛乃先輩への想いはヒシヒシと伝わってくる。
谷原 芽衣
谷原 芽衣
瀬戸くんの凛乃先輩に対する想いは
きっと、誰にも負けないはずだから
谷原 芽衣
谷原 芽衣
自信もって、
真正面から気持ち伝えて
谷原 芽衣
谷原 芽衣
きっと、凛乃先輩にも
瀬戸くんの気持ち、届くと思う
瀬戸 一聖
瀬戸 一聖
……谷原
谷原 芽衣
谷原 芽衣
頑張れ、瀬戸くん!!
瀬戸くんのこと応援してる
頑張れ、瀬戸くん。

これは、瀬戸くんの恋が成就することを心から願って送る、私からのありったけのエールだ。