第3話

ハツコイと檸檬と3
931
2022/10/03 21:36


ふっか先輩ーーーーー



深澤辰哉と名乗った男子生徒は



コミュ力が高く話しやすかった



この人なら……仲良くなれるかもしれない、



だけど先輩だしなぁ…



心の中で葛藤がはじまる



敬語もなくていいから、とか緊張をほぐすように



言ってくれて、人見知りの俺もだいぶん慣れてきた




そんな時に、ぽつりと言った彼。

深澤 辰哉
めめにとっても、俺にとっても……ね?

命の恩人だよ、とふっか先輩はふわりと笑った



でも、今にも泣きそうで。



俺にとっても、ってことはそれだけ



ふっか先輩が目黒先輩を大切にしてたってこと



あいにくここからは出られないってとこも



引っかかるポイントなんだよね、



きっと、“みえる”ことで過去に何かあったんだろう



そうすると話が繋がってくる


ラウール
ふっか先輩ーーー


俺がそう呼んだ時、



寝ているはずの目黒先輩の声がした

目黒 蓮
ふっか、さん……
ラウール
目黒先輩…?
深澤 辰哉
わ、めめ…!!まだ起きちゃダメだよ


ふらふらとした足取りでこちらへ向かってくる



そんな目黒先輩をふっか先輩が慌てて止めに行く

目黒 蓮
………で、、…
深澤 辰哉
ん、どうした、、?って……


あぶない!



ふっか先輩が大きな声で言ったからか



反射的に倒れかかった目黒先輩を受け止めた

深澤 辰哉
せーふ……大丈夫か、ラウールとめめ?
ラウール
俺は大丈夫ですけど……先輩が、


荒い呼吸を繰り返す先輩は苦しそうで。



もたれかかった身体からはすごく熱いのを感じた



相当熱あるな……



大丈夫かな、、?


目黒 蓮
はぁ…はぁっ、、………いで、、
ラウール
どーしたの、目黒先輩


“いかないで”



途切れ途切れに言ったその言葉。



それがどれだけ過去に辛いことがあったか



思い知らされる



俺は思わず熱で身体が熱い先輩を抱きしめた


目黒 蓮
ら、らうーる……?
ラウール
大丈夫、どこにも行かない
目黒 蓮
う、ん……


先輩も俺の背中に手を回して抱きしめてくる



すっごい素直で可愛いなぁ、



……なんて言ったら怒るかな?(笑)

深澤 辰哉
とりあえず座りな、


ふっか先輩に促されて俺はソファに座る



目黒先輩は座ってるのもしんどそうなので



膝枕して寝かせてあげると



数分もかからないうちに寝息が聞こえ始めた


ラウール
かわいーな……




先輩のサラサラ中身を梳くように撫でる



初めであった頃とは似つかない、無防備な寝顔。



可愛くて、愛おしくて。



自然と笑みがこぼれる



まつ毛長ぇな、なんて考えてると



ふっか先輩が口を挟む


深澤 辰哉
俺のこと忘れてね?わら
ラウール
あ、忘れてた!


おどけたように言うと



忘れんなよ……と寂しそうに彼は言った

深澤 辰哉
そうだ、ラウールさ
なんか俺に言いかけてなかった?
ラウール
そーでしたっけ


ほら、めめが起きてくる前。



二人で話してたでしょ?その時だよ、



ラウール、なにか言いかけてやめたじゃん?



ふっか先輩に言われてやっと思い出した



あぁ、そうだ。そうだった。



俺、ふっか先輩に聞かないと



いけないことがあるんだよね


ラウール
思い出しましたよ
深澤 辰哉
お、よかった!んで…なに?





*



ラウール
単刀直入に聞きますけど
深澤 辰哉
……うん、いいよ
ラウール
ふっか先輩、過去になにかあったんですか


ほんとに単刀直入に聞かれた。



なにもないよ、と誤魔化し話を変えようとするも



それは叶わず



俺、目黒先輩にとってもふっか先輩にとっても



命の恩人ってとこに引っかかってて。



言いたくないなら言わなくていいんですけど……



控えめにラウールは言った



俺そんなこと言ったっけ?なんてとぼけてみても、



ラウールは真面目な顔でこくんと頷いた



何言ってたんだ過去の俺!!!



もうここまで来たら隠し通せないよな……



俺は決心した


深澤 辰哉
…俺も“みえる”って言ったでしょ?


こくん、とラウールが頷くのを見てから



俺は話を続ける

深澤 辰哉
そのせいでいじめられてた


幼稚園の頃、友達に言ったんだ



『ねぇ、うしろに女の人がいるよ』



『え、いないよ?』



『いるよ、なにかいってる』



『いないって…たっちゃんおかしいよ!』



それからその子は俺に近寄らなくなった



無邪気な幼稚園生ながらも、異変を感じ始めていた



小学校にあがると同じ幼稚園だった子達から



避けられ始めたんだ



高学年になるにつれてそれは全体に広まって。



クラス学年関係なく俺を避けた



まだ小学生だからか暴力振るってくるやつは



いなかったけど、無視や物がなくなったりと



いじめは始まっていた

深澤 辰哉
中学に上がってもずっと続いてて。


もちろん入学初日からクラスの子に避けられ



数日も経たないうちに俺の噂は学校全体に広まった



いつからか無視などに加え暴力も受け始めて



俺の身体はボロボロだった



中学2年の終わりごろからいじめに耐えられず



俺は不登校になった



何度先生が来ても俺は登校を拒否し続けた



先生も諦めたのかある日を境に



家を訪ねて来なくなった



そんな俺は両親だけが味方だった



『たっちゃんが嫌な思いするなら行かなくていいよ』



そう言って貰えるだけで俺は幸せだった

深澤 辰哉
高校生になって、
つい最近までいじめはあったんだ


家で猛勉強をして中学の分を取り戻し



なんとか受験に受かった俺はこの学校に来た



少数の中学の時の同級生が広めたのだろうか



またいじめは始まった



その時に手を差し伸べてくれたのが同級生の照だった



無理しなくていいんだよ、



お前に何かあったら俺がすぐ駆けつける



いじめられる毎に照は助けに来てくれて。



俺に生きる意味を与えてくれた


深澤 辰哉
一緒に解決策とか考えてくれて。


最終的にたどり着いたのが保健室登校。



渡辺先生に許可を貰って高1の秋からここにいる

深澤 辰哉
で、めめと出会ったのはまる1年後くらい


足をひょこひょこかばいながら



保健室を訪ねてきた



そこで手当したあげたのが俺で、



めめと仲良くなったきっかけかな



俺とめめは“みえる”人同士だし話が早くて



すぐに仲良くなったかな〜


深澤 辰哉
まぁこんな感じ
ラウール
ふっか先輩……
深澤 辰哉
俺には照がいるけど、めめにはいないから
深澤 辰哉
ラウが守ってあげて欲しい。


もちろん俺もめめを守るけど



ここから外に出れないから

深澤 辰哉
不甲斐ない先輩でごめん……
ラウール
んーん、ふっか先輩は十分いい先輩です


俺は好きですよ、



なんてラウは言った



それだけで、もう十分すぎるよ


深澤 辰哉
ありがと
ラウール
目黒先輩は俺に任せてください
深澤 辰哉
うん、よろしくね


ラウにならめめを安心して任せられる



俺はラウが差しのべてくれた手を握った


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