第2話

ハツコイと檸檬と2
1,127
2022/09/03 12:35


そんなことを言いつつも次の日




同じ時間、同じ場所に先輩はいた


ラウール
約束、守ってくれたんですね


なんて言って横に座ると


目黒 蓮
トモダチ…なんだろ、


先輩はそう言って俺の頭を撫でた




暖かくて大きな先輩の手はなんだか安心する


ラウール
そうですね


笑いながら俺はお弁当を出す

ラウール
あれ、お昼食べないんですか
目黒 蓮
んー……たべない
ラウール
食べないとダメですよ!
あ、だからこんなに細いんだ
目黒 蓮
別に…今食欲無いんだ


初めはほんとに遠慮してるだけだと思ってた

ラウール
ほら、遠慮しないで!


俺のは弁当におにぎりまであるから、



と間食用に購買で買った焼きそばパンを手渡す

目黒 蓮
………。


無言でしばらく焼きそばパンを見つめたあと



先輩は嫌そうであるがゆっくり食べ始めた

ラウール
いっぱい食べてくださいね、まだあるから
目黒 蓮
……うぇ、


手のひら1個分くらいのコッペパンの



3分の1を食べたところで先輩がえずいた


ラウール
大丈夫ですか…!?
目黒 蓮
げほげほっ、うぇぇっ……


つんとした匂いがしたかと思えば




先輩の口を覆った手から零れる吐瀉物。




最近ちゃんと食べていないのだろう、




ほとんどが胃液を占めていて




さっき食べて消化しきれていない固形物が少し。



目黒 蓮
ご、ごめ……
ラウール
大丈夫です、気にしないでください


そう言って笑顔を見せる

目黒 蓮
ん…はぁっ、きもち、わる…
ラウール
まだ吐きそう?


その問いにこくんと頷いたので




俺は先輩の背中をさする




びくりと背中を震わせたと思えば




少しばかりの胃液。




大丈夫かなぁ、




なんて考えながら背中をさすっていると




突然先輩の身体は力が抜けたかのように倒れ込んだ

ラウール
……先輩!?
目黒 蓮
ら…う、る……


意識が朦朧としている中で彼は言った

目黒 蓮
ほ、けん…し、つ……
ラウール
保健室?分かった、連れていけばいいんだね!?


身長が俺とあんまり変わらないから、と




身構えてたけど案外軽い。




俺でもひょいと姫抱きできるくらいだ




いや、軽すぎる




これは異常レベルで軽い。




てか早く連れてかないと




俺は先輩を姫抱きしたまま階段を駆け下りた





*



ラウール
失礼しますっっ!!


ノックも忘れて勢いよく飛び込んできた、



最近俺らの学年で話題になっている彼。



スタイル抜群で、勉強できて、



オマケに運動ができる。


ラウール
あのっ!
深澤 辰哉
え、

そう言われてはっと我に返る



彼に姫抱きされている そいつ の方に視線をやると




よく見知った、整った顔。



センター分けでテクノカットの髪は



脂汗でおでこに張り付き、彼はぐったりしていた

深澤 辰哉
めめ、??
ラウール
目黒先輩、急に戻して倒れちゃって……!


どうしたらいいかわかんなくて、



と 焦っている俺よりだいぶん背丈の大きい彼を



なだめるようにして保健室のイスに座らせる


深澤 辰哉
うわ、すんごいクマ…
ラウール
ほんとだ…寝不足ですかね、
深澤 辰哉
かもしれない、あと多分最近ちゃんとした食事してなかったかもな


意識が朦朧とするめめになんとか口をゆすがせ、



ベッドに寝かせた


深澤 辰哉
ラウールくんであってる?
ラウール
……はいっ!
深澤 辰哉
俺、深澤辰哉。気軽にふっかって呼んでね
ラウール
ハイっ!俺もラウール、でいいです
深澤 辰哉
おっけ〜


落ち着かないのかウロウロしてる彼に声をかける



恐縮したように返事するから



とりあえず適当に座って、と促した

深澤 辰哉
そんな緊張しなくていいから
ラウール
はい、


行儀よく背筋を伸ばして椅子に座る彼に



冷蔵庫からレモンティーを出して



コップに入れて運ぶ



この冷蔵庫の中身、半分は俺の所有物なんだよな(笑)



事情を全部知ってる保健の渡辺先生が



使うの許してくれてるんだ

深澤 辰哉
レモンティー。飲める?
ラウール
あ、ハイ…
深澤 辰哉
あはは、硬いよ(笑)肩の力抜いて


敬語も外してくれていいから、



なんて笑いながら言うと



ほんとですか、なんて言って柔らかく笑う

深澤 辰哉
めめの友達でしょ、よく話聞いてる
ラウール
そです、!
深澤 辰哉
めめね、ラウールと出会ってから
よく笑うようになった


おれ、友達できたんだよーって



今までにないくらいの笑顔で教えてくれた



それまでは笑うことはあったけど



ここまで嬉しそうにするのはなかったからさ?



ちょっと俺も心配してたの



きっともうラウールは知ってると思うけど



俺とめめは“みえる”の。



それで仲良くなれたって言っても



過言じゃないかもしれないなぁ……わら



ふっかさん、ふっかさんって言って



懐いてくれるのはすごい嬉しいんだけど



たぶん隠してることあると思うんだ、



だって毎日怪我してここにくるから…



いじめられてるのかなとか考えちゃう。



どうしたのって聞いても



転んだとかぶつけたとか言ってて誤魔化される。



俺が自分で確認しに行けばいいんだけど



恥ずかしいことにあいにくここから出れなくてさ、


深澤 辰哉
それとーーーありがとね、
あの時めめを止めてくれて。


おれ、気づけなくて。



ラウールがいなかったら、めめはもうーーーー



だから命の恩人。

深澤 辰哉
めめにとっても、俺にとっても……ね?










続きます!



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