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第4話

パ.ラ.レ.ル.ワ.ー.ル.ド.(読切)
908
2022/09/03 13:56


よく晴れた夏の昼下がり。




俺は縁側にすわり、扇風機だけをかけて




ぼうっと庭を眺めた

ラウール
あっつ……


今、外の気温は何度なのだろうか




日陰にいてもこれだけ暑いのだから、




きっと日向はもっと暑い。




こんなカンカン照りの日差しの下にいくなんて




ほんとごめんだ




暑いならエアコンつければいいだろ、




なんてみんな口を揃えて言うけど




ギリギリまでつけないってのが俺のスタンス。




確か、かつての恋人も言ってたっけ






俺、エアコンの風あたるのあんま好きじゃない



涼しくていいんだけど、あたりすぎると



頭痛くなっちゃうんだよね






彼はくしゃりと笑いながら言った




でも、彼はもうここにはいない




ふいと視線を後ろにやると




黒いバラ1本と白いフレームの写真立て。




俺と俺の恋人が笑顔でピースしてる写真

ラウール
いつのだっけ、あれ


たしか海に行った時だから




今からちょうど2年前。




ほんと、楽しかったなぁ……




今でも彼のことが忘れられなくて、




彼がいなくなってから1度も




恋人ができたことがない




彼以上に愛せる人が、まだ俺にはいなかった





ピロン

ラウール
あれ



突如スマホの着信が鳴る




誰だろう、不思議に思って確認すると




送り主は勤務先の先輩、ふっかさん

深澤 辰哉
✉️今みんなで集まってるんだけど来る?


“みんな”ってのは




きっといつもの7人なんだろうけど




なんで今日?




疑問に思って俺はふっかさんにLI○Eで聞いた

ラウール
✉️なんで?
深澤 辰哉
✉️ 今日2回忌だろ、
だからみんなで墓参りにさ。


あぁ、そっか。



もうそんなになるのか

ラウール
……今日で1年、か
深澤 辰哉
✉️来るなら迎えに行くけど、照が。
ラウール
✉️今日はいいや
深澤 辰哉
✉️そっか


間髪入れず返すと、直ぐに返信が返ってきた




それを見てから俺はアプリを閉じた




ピロン




また新着メッセージが2件。

深澤 辰哉
✉️あんま自分を追い詰めすぎんなよ
深澤 辰哉
✉️お前のせいじゃないんだから


追い詰める…か。




べつに、そんなんじゃないし




なんて思いながら俺は既読スルーした




そろそろ遺品整理しないとなぁ、




暑くて回らない頭でぼうっと考える




彼がいたら、もっと楽しい夏に




なっていたのだろうか。




額から滲み出た汗が頬を伝って床に零れる




こんなつまらなくて退屈な毎日ではなく




もっと充実したものになっていたのだろうか?




……そんなこと考えたって、叶わないことは




誰よりも俺は知ってる




こんなことしてる、時間が無駄だ




最愛の恋人を亡くして早1年。




なかなか立ち直れずにいる自分に苛立つ




蝉の声が煩わしくて、俺は耳を塞いだ





*


ーーーー?
ーーーる!





目黒 蓮
ラウール!


はっと目を覚ますと目の前にはかつての恋人。




心配そうに俺の顔を覗き込んで、顔色を伺う

ラウール
あれ…なんで……
目黒 蓮
ラウ、大丈夫?
ラウール
蓮…?れん、生きてる、、?!
目黒 蓮
なんのはなし………わっ!!


思わず俺は蓮を抱きしめた




生きてる、ちゃんと生きてる。




よく知った香り、声のトーン、そして温もり




ちゃんと本物の蓮だ。




俺が間違えるはずがない



目黒 蓮
どうしちゃったの、ラウ
ラウール
んーん、なんでもないよ


そう言って彼の肩に顔を埋める


目黒 蓮
嘘つかないで、分かるんだから


俺の背中をさすって




すべてお見通しかのように彼は言う




ばれちゃったか、(笑)

ラウール
…俺、夢を見たんだ
目黒 蓮
……ゆめ?
ラウール
そう、こわいゆめ。


蓮がいなくなって、1年後の世界だった




いつも開きっぱなしの蓮の部屋は




しっかりと扉が閉まっていた




カーテンも閉まっており外からも見えなくて。




蓮の私物も辺りに見当たらなかったから




全部そこにあるんだろうなって。


ラウール
ほんとにいなくなったらどうしようって


こわかった、と掠れた声で言うと




蓮は大丈夫だよと抱きしめてくれた

目黒 蓮
俺はラウを置いていなくならないから
ラウール
………ぜったい?


うん、死ぬ時までずーーっと一緒。




蓮は俺から離れて、ぽんと肩に手を置く




嫌って言うくらい隣にいるから




覚悟しといてよね?




そう悪戯にニヤリと笑う蓮が愛おしい。


目黒 蓮
一緒に天国に行けるなら本望だなぁ…


そう言って窓の外を見つめる彼の横顔に




何度惚れ直したことか。


目黒 蓮
なーんて、重いでしょ?俺。


あっけらかんと笑いながら蓮は言う




全然そんなことないよ




俺の方こそ蓮にやめてって言われるまで




甘えたいし甘えて欲しいしずっとそばに居るし




こーんなに可愛い彼氏がいて




浮気なんてこと出来るわけないし




俺の方が重くない?(笑)

ラウール
気にしないで、俺も
目黒 蓮
ふはは、おれ、幸せ者!


今日イチの笑顔で蓮は言う




いつもクールで、大人っぽくて、




かっこいい蓮だが




実は子供っぽくて無邪気に笑う




そのギャップが可愛いし




毎日見てて飽きないんだよねぇ…




好きな人にこんなに愛されるなんて




こんな幸せなことはないよ?


ラウール
俺も幸せ!




END



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どうもこんにちは、mgです。


前回までの作品は諸事情により一旦休憩で、

読み切り作品を書かせていただきました…!


あと、リクエスト募集中です、、!

最近ネタが尽きてきて困ってます…

ご協力お願いします^^

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