第6話

くだんの日‪✝︎‪✝︎
68
2023/12/03 10:21
「集合しろ!クズども!並べ!」

三年が経った。
来る日も来る日も戦い続けた。
けど、人類は優勢になるどころか負け続けていた。

前回の記憶と同様に強制徴兵が始まり、私は何故か新兵と間違われて以前と同じベース251に招集されていた。

記憶にある面々と変わらぬメンバー。
『前の時』、私を励ましてくれた研究者の人もいた。


──どうでもいい。どうでもいい、どうでもいい。

私はただ、あの日まで生き残ってリングを破壊すればそれでいい。
そう思って来る日も来る日も敵を倒し続けた。

あれを壊せばきっとみんな生き返る。
あれさえ壊せば、きっとみんな元通りになる。

そうしたら、覚えている通りに敵を倒そう。全てとは行かなくても、大きな戦闘があった場所は覚えている。ここまで戦った経験もある。これまでとは違ってもう怖気づいたりしない。


《レーダーに異常あり!どうなっているんだ!?》

「おい、空を見ろ!」
「ばかな、ばかな、ばかな!」
「宇宙船だ。プライマーが戻ってきた!」


今度こそ、今度こそ上手くやろう。
赤く染まっていく空を眺めながらそう誓う。

もう、私にはそれしかないのだから。







「今日こそリングをやるぞ。ついてこい。プライマーにひと泡吹かせてやる」

前回と同じ日に、やはり大尉はリング破壊作戦を決行した。前と同じく、基地唯一のウイングダイバーである私に特攻役を言い渡して。

ただひとつ違うのは、リングの周りを守っている敵が怪物だけではなくなったこと。



──人類が最後の頼みの綱としていた空軍の新兵器のことごとくを破壊し、空の覇者となったプライマーのドローン兵器が、リングを守っている。


飛行型の怪物──蜂の怪物よりも動きが予測しづらく、さらに攻撃の際に近寄ってくるわけでもないためウイングダイバーにとって戦いにくい相手だった。

ウイングダイバーには「ランス」と呼ばれる一点収束型超高火力の武器もあるものの、遠くに行かれてしまった場合は戦うことが難しくなる。プラズマキャノンは遠くへ届くものもあるが、なにせ弾速が遅い。着弾する頃には既にドローンはそこにはいない……ということになってしまう。

だから私は、極力敵に気づかれないよう単騎で突っ込むことを大尉に申し出た。万が一敵に気づかれてしまったら、その時はスナイパーを装備した仲間たちに援護してもらう。

帰りのことは考えていない。
必要が無いからだ。

あれを壊せば過去に帰れる。
──そうでなくては、困る。



「……君は、怖くないのか」

もう作戦が始まるタイミングで、私に声をかけた人がいた。……例の、元研究者の人だ。

「……怖くありません」
「……そうか、君は、強くなったんだな」

その言葉に少し違和感を覚える。
しかし、それがなんなのか考える暇はなかった。

「……このレイピアは、触れたもの全てを破壊してくれます。大丈夫、きっとうまくやりますから」

前にこの人に言ってもらったことをほぼそのまま繰り返す。そして振り返らないまま左回りでリングの真下を目指した。

飛んで、飛んで、飛び続けて。

目の前に迫った赤い光に向けてトリガーを引く。

.....そして、私の視界は強烈な光に呑まれた。

「──っっ!!!」

吐き気を催すような白と黒の明滅。
身体を焼く強烈な電撃。

──さらにリングへの攻撃に気がついた周りのドローンからの集中砲火。

避ける余裕はない。
エネルギーは全て飛行とレイピアの再チャージに使わなくてはならない。それだってギリギリなんだ。

失敗は出来ない。一度、近くのビルの残骸に降りるべきか──。

──パァン!!

そう思ったその時、目の前のドローン一機が弾け飛んだ。……レンジャー隊の支援攻撃だ。

パァン!パァン!!

続けて二機。
一気にこちらを狙うドローンの数が減り、私はそのまま攻撃を続行した。

どんどん広がっていく光の波。それは世界中を呑み込まんばかりの勢いで大きくなって行った。



再び、白く塗りつぶされた世界。

私にはそれが、ただひとつの救いの光に見えた。





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