第7話

上書き ⅰ
1,603
2021/06/18 16:32
ジェヒョクと繋がることのできた昨日の夜は
本当に奇跡としか言いようがない



好きな人が男で
誰にも言えなかった

ずっとなんともないような顔で居続けるのはつらかった







表情に出さないところが
俺のいいところ?




違う
一緒にいて本当に幸せだと思う時しか表情に出ないだけ




ただ、それだけ










今は夜21:00
練習室で自主練の最中である





俺だけではなく、今日はバックダンサーのヒョンが1人、練習に付き合ってくれた




ダンスはまだまだなんだよな...
表情管理もだけど...
もっと練習が必要だ





切り替えようとしてみて


ふと昨日のことを思い出してしまった






2人の吐息と喘ぎ声
ぶつかり合うからだの音
鮮明に覚えてる






「あー...まだ足らねぇな...」




そう俺は言ったがこの場合、練習の量が足りないのか、あるいはジェヒョクとの行為が足りないのかどっちの意味で言ったかはどうでもよく


ただ言葉にして
吐き出したかっただけである







「??アサヒくん、どうかした?」

ヒョンが俺に尋ねた





「あ、別に...なんか今日集中できんくて...
もうこの辺で終わりにします」


俺は宿舎に帰る準備をしようとした




そのとき




俺の背後からヒョンが
ハグをしてきた



ゆっくりと
でも確実に締めつけて
逃がさないように

蛇の、ように








「...っ、び、びっくりした!
 ヒョン、マジで今びっくりしましたよ?」



「ん〜?
 びっくりしたの?こんなハグで?」



ヒョンが俺の首筋をスンと嗅ぐ




なんだ...?
このヒョン、さっきから変だぞ?




「あ、あのヒョン、練習付き合ってくれてあり
 がとうござ...」


「アサヒくんさぁ」




ヒョンが俺の言葉を遮ってこう言った

そして続けて
驚くべきことを言い放った





「アサヒくん、急に大人になった匂いがするな
 ぁ...あとさっきチラッと見えたけど、身体中
 にキスマークあるね...?」




背筋が
一瞬にして硬直した





「は、ははは...大人になった匂いって...
 まあ俺も20歳近いし...
 あとき、キスマークって、気のせいじゃない
 ですか?」



必死になって言葉を紡いだ
この男の気味の悪さが
どんどん俺に浸食していくようで
今すぐ逃げたかった





ヒョンの手が俺の練習着をまくる


「っあ...」





さっき言った通り
ここは練習室
鏡が全面に広がっている




俺の身体についたキスマークが
その大きな鏡に
しっかり映されてしまった






「アサヒくぅん...これなに?
 誰につけられちゃったの?」


「ヒョン、離してください!」


「...ジェヒョクくん、かな?」













どうして








どうしてジェヒョクの名前が
ここで出てくるんだ?


















(みなさんお久しぶりです
 これからもゆる〜く書いていきます)

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