第16話

No.16
10,793
2021/07/28 14:48
爆豪勝己
やけにご機嫌じゃねえか







スマホを見ていた勝己くんが、そう言って私を見つめる。







あなた

そう?

爆豪勝己
顔に出てンぞ
あなた

え、嘘、やだ








そんなに顔に出てたかな。





そう思いながら思わず両頬に手を当てると、爆豪くんは軽く笑った。







爆豪勝己
んだよ。なんかあったんか
あなた

んー、ちょっとね








言えるわけない。





勝己くんとのお出かけが楽しみ、だなんて。





だって、言ったら勝己くん、絶対からかってくるんだもの。





意地悪だからね。







爆豪勝己
そんなに出かけるの楽しみか?
あなた

...

爆豪勝己
図星かよ







なんでバレた...。





勝己くんは私の反応を見ると、我慢できないといったように大爆笑。







あなた

も、もう!笑わないでよ!

爆豪勝己
ふはっ、わかりやすすぎだろテメェ







涙が出るほど笑ったあと、勝己くんはむくれている私を見つめる。





その表情を見て、自然と胸が高鳴っていく。





彼は2人の時だけに見せる、優しい表情をしていた。







爆豪勝己
...テメェは、
あなた

うん?

爆豪勝己
こんな口の悪い奴、よく飽きねえよな
あなた








そう言いながら頭を撫でてくる彼を見て、思わず瞬きを繰り返す。





急にどうしたんだろ。







爆豪勝己
嫌だとか、思わねえんか







こちらを見つめる彼の赤い瞳は、少し不安げな光を瞬いて揺れていた。





そんな彼にふっ、と微笑み、私は口を開く。







あなた

思わないよ。確かに勝己くんは口は悪いけど、その分こっちを見てくれる目とか、今こうして撫でてくれる手とかからは、ちゃんと優しさが伝わってくるから

爆豪勝己
あなた

だって勝己くん、いつも私に触れる時、すっごい優しいじゃん。目も、手つきも、なにもかも








彼は優しい。





周りからはヴィラン顔だとか、怖いだとか言われているけど、ほんとはとっても優しい人なんだ。







あなた

そりゃ、多少は気になっちゃうこともあるけどね。でも、勝己くんが優しい人だ、ってことはちゃんと知ってるから、私は嫌になったりしないよ








そう言って笑いかけると、勝己くんは目を見開いてかたまる。





と思ったら、急に私を自分の方へと引き寄せ、抱きしめてきた。





え、え、っ!?







あなた

え、か、勝己くん?








勝己くんが急にこんなことしてくるの、珍しい...。





突然のことに驚きを隠せずにいると、勝己くんはぼそりと呟いた。







爆豪勝己
...テメェ、その面、ぜってぇに俺以外のやつに見せんじゃねえぞ
あなた

え?う、うん








わけがわからないまま咄嗟に返事をすると、勝己くんはぎゅうぎゅうとさらに私を強く抱きしめてくる。





よくわかんないけど、まあいっか。





2人で出かけるの楽しみだなぁ。





そんなことを思いながら、私は彼の背中に腕をまわした。

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