第25話

No.25
9,219
2021/09/12 15:31
あなた

てか勝己くん、結構遅かったけどなにかあったの?混んでたとか?

爆豪勝己
あ?...あー...







先程のことについて聞いてみる。





勝己くんは私から目をそらし、ガシガシと頭をかく。





と、







爆豪勝己







私に向かって紙袋を渡してきた。







あなた

え、なに?これ

爆豪勝己
やる
あなた

?あ、ありがとう








わけがわからないまま紙袋を受け取り、なにが入っているのかを確かめるために中を覗く。





その中に入っていたものを見て、私は目を見開いた。







あなた

勝己くん、こ、これ...

爆豪勝己
テメェが物欲しそうな面してたからだわ







紙袋に入っていたもの。





それは、先程売店で私が見ていた、大きなペンギンのぬいぐるみだったのだ。







あなた

私、そんな顔してた?

爆豪勝己
あ?しとったろがアホ







そんなにしてたかなぁ。





私、表情に出やすいのかな。







あなた

...いいの?

爆豪勝己
俺がテメェにやりたくて買ったんだからいいに決まってンだろ







そう言うと、ふいっ、と私から顔をそらしてしまう。





でもこれは、彼なりの照れ隠しだ。







あなた

ありがとう勝己くん。すっごく嬉しい。絶対大事にするね








私はそう言って、紙袋ごとぬいぐるみを抱きしめる。





嬉しくてたまらない。





彼が私を思ってくれた、ってことだもの。





それにこれは、彼からの初めてのプレゼントだ。







爆豪勝己
そーかよ







そう答える彼の耳が、赤くなっていることに気づく。





思わず笑った。







あなた

勝己くんがいなくて寂しくなったら、このぬいぐるみを勝己くんだと思って抱きしめとく!

爆豪勝己
アホか







そう言う彼だけど、口元は緩んでいた。





と、







爆豪勝己
あなた







突然、名前を呼ばれる。





どうしたのと尋ねる前に、彼が先に口を開く。







爆豪勝己
目ェ閉じろ
あなた

え?なんで?

爆豪勝己
はよしろや
あなた

う、うん








急にどうしたんだろ。





疑問に思いながらも、私は言われた通り目を閉じる。





その時だった。





私の後頭部に優しく手が回され、ぐいっ、と引き寄せられる。





瞬間、ふにっ、とした柔らかな感触が唇に伝わった。





驚いて目を開く。







あなた

!!?んっ、!?








目を開けて真っ先に視界に飛び込んできたのは、目を閉じている勝己くんの顔のドアップ。





まつ毛長いな...じゃなくて!





え、え!?





こ、これ、キス...!?







爆豪勝己
ハッ、間抜け面







唇を離すと、彼はそう言っておかしそうに笑う。





それから驚きと羞恥で顔を真っ赤にさせている私の耳元に唇を寄せると、私に聞こえるくらいの音量で囁いた。







爆豪勝己
テメェが好きだ、あなた







そのひと言で、私がキャパオーバーを起こしかけたのは言うまでもない。

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