〜侑side〜
なんやアイツ、さっきからあなたさんことジロジロ見て...
俺の視線の先には茶髪でちょっとチャラそうな奴。
前髪を右に流していて、背丈は俺と同じくらい。
の、奴がさっきから妙にあなたのこと見とるんよな。
なんや、惚れたか?
いや、惚れんのはわかるで?
あんだけ美人なんやもん。
せやけどな、あなたさんは俺の彼女(になる予定)なんやからそんな見たらあかんで?
侑くん嫉妬すんで?
じーっと顔を顰めて見ていると俺に気付いたか視線が交じった。
かと思うとこっちへ向かって歩いてきた。
?「何?なんか用?」
なんや、なんやコイツ.........
俺より※背高いやんけッッッ!!!
※背=身長
侑「お前...背※なんぼや...」
※何cm?という意味です。
目ん前におるコイツは一瞬キョトンとした表情を見せ、すぐに見下すように顎をクイッと上げた。
?「184.2」
侑「んなッッッ!!!」
?「お前は?」
ハッと勝ち誇ったような表情で見下してくる。
侑「183.6...」
負けたのが悔しく、ぶっきらぼうに口を尖らせて言った。
?「ふーん」
侑「お前、名乗れや!!!」
?「いや、先に見てきたのそっちじゃん」
あ、せやったわ...ヤバ
?「ま、いっか」
一言零してポケットに手を突っ込んで言ってきた。
二口「二口堅治、2年。WS」
侑「同じく宮侑......S____」
身長を負けたことが悔しく、ふぬぬぬと拳を握って軽く睨みつける。
二口「知ってる、月バリで見た」
二口がそういったその言葉。
なんや、知っとったんか。
俺有名やん。
と、いきなり勝ち誇ったような気分になった。
侑「ほーん...俺は関西だけやなくてて東北の方でも知られとるんやなぁ...」
きっと今、俺の表情筋はゆるっゆるだろう。
二口「うわ、ブッス...」
侑「やかましいわッッッ!!!」
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!