第24話

GW合宿⑩︰心残り
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2021/04/11 00:02
『ほんで、さっきのどうやったってやつやけど...打つ寸前の構えの時な。少しひじが高すぎる。それやと、肩痛めやすいしすぐ疲れる』





そう言うと再び考える仕草に入った。





牛島「下げないように意識しつつ上げすぎないように、か」



『おん、その辺の調節は難しいんやけどな。そこはもう慣れやな。あと...前の試合ちょっと見た時に思ったんやけど』





過去を思い出すように視線を斜め下に向けて目を合わせた。





『スパイクん時、インパクトの瞬間...空中姿勢が崩れんのが速い。もう少しグッと溜めてからの方がええよ』



牛島「そうか、ありがとう」



『どういたしまして』





ニコッと笑って見せた。





なんで他校の人間にアドバイスしてるんだって思われるかもしれないが、理由は特にない。



ただ一つ言えるとすれば全ての人にバレーを楽しんで欲しいということ。



楽しむにはそれなりの強さがいる。



その強さを皆が手にできるように...



という意味できっと、牛島若利と言う人間に今バレーを教えたんだと思う。





『あ、そうだ。さっきの呼び方の話やねんけど、わかじゃダメ?』



牛島「いいぞ。お互い頑張ろうな、あなた」



『おん』





若の微笑みに対して決意の表情を向けて見せた。
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〜侑side〜





『ってな感じで、若とは出会ったよ』





ケロっと話すあなたさん。





めっちゃ遅刻しそうでパンくわえて走ってたら角でイケメンとぶつかりましたみたいノリで話すやん...



ていうかあなたさん、他校の色んな奴と知り合いやな。



昔のあなたさんこと知っとる奴が羨ましいわ。





『お互い頑張ろな〜言うたんにあたしバレー辞めたからなんか、申し訳ないわ』





と、眉をひそめて悲しそうな顔で笑った。





あなたさんって、時々こんな風に悲しそうな顔で笑うんよな。



それは必ずバレーをプレーしていたという過去を思い出す時。





怪我でバレー辞めたって聞いたから、多分それが心残りなんやろな...と率直に思った。

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