〜侑side〜
及川「それからは俺たちの練習とか見に来てくれて、アドバイスも良くしてくれたよ。卒業してから高校はやっぱり離れて、連絡も次第に途絶えてった。IHとかで再会したかったけど、まさかこうして合宿で会うとはね、笑」
初めて聞いたあなたさんの過去。
それは想像を絶するほどのものだった。
及川「きっとあなたは過去を超えてるようでまだ超えきれてないと思う。だからさ、頂上の景色、あなたに見せてあげてよ」
確かに、あなたは時々辛そうな表情をする。
そして、どこか遠くを見据える。
あなたさんが抱えているのはバレーの問題だけではない気がするのは俺の勘違いか...、
『ちょっと、人の過去ペラペラと話さんとってや』
及&侑「げ、あなた/あなたさん...」
振り返ると腰に手を置いてムスッとしているあなたさん。
及川「ごめんって、あなた......」
じとーっと見られて及川くんが萎縮していっている。
『はぁ...まぁ、ええけどさ』
及川「あれ、コタロー。もう遊ばなくていいの?」
コタロー「わん!」
そう返事をすると及川くんは"いっぱい遊んでもらってよかったね〜"と言いながらコタローの頬をわしゃわしゃと撫でた。
『よし、そろそろホンマに帰ろっか』
岩泉「そうだな」
そう言うと3人は目を一点に合わせて"また ね/な"と言い合って別れた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!