第37話

Vol.22 約束
702
2021/10/03 00:57
〜侑side〜





及川「それからは俺たちの練習とか見に来てくれて、アドバイスも良くしてくれたよ。卒業してから高校はやっぱり離れて、連絡も次第に途絶えてった。IHとかで再会したかったけど、まさかこうして合宿で会うとはね、笑」





初めて聞いたあなたさんの過去。



それは想像を絶するほどのものだった。





及川「きっとあなたは過去を超えてるようでまだ超えきれてないと思う。だからさ、頂上テッペンの景色、あなたに見せてあげてよ」





確かに、あなたは時々辛そうな表情をする。



そして、どこか遠くを見据える。



あなたさんが抱えているのはバレーの問題だけではない気がするのは俺の勘違いか...、





『ちょっと、人の過去ペラペラと話さんとってや』



及&侑「げ、あなた/あなたさん...」





振り返ると腰に手を置いてムスッとしているあなたさん。





及川「ごめんって、あなた......」





じとーっと見られて及川くんが萎縮いしゅくしていっている。





『はぁ...まぁ、ええけどさ』



及川「あれ、コタロー。もう遊ばなくていいの?」



コタロー「わん!」





そう返事をすると及川くんは"いっぱい遊んでもらってよかったね〜"と言いながらコタローの頬をわしゃわしゃと撫でた。




『よし、そろそろホンマに帰ろっか』



岩泉「そうだな」





そう言うと3人は目を一点に合わせて"また ね/な"と言い合って別れた。
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〜侑side〜



侑「あなたさん、」



『ん?どないしたん?』





静まる街灯照らす路地の静寂をさえぎった。





侑「えっと...その、なんて言うか...」



『中学ん時のこと?』



侑「あ、はい...」





考えていることが見え見えだったのか言い当てられて肩が下がった。





『悔しいとは思っとるよ。でも、あたしはもうバレーをプレーして頂上テッペンを見ることは出来んからさ』





一度下を向いてまた顔を上げた。






あたしはアドバイスを、マネージャーを通してバレーを楽しむ。せやから侑たちが...あたし頂上テッペンの景色見せてや』





そう言いながら俺を見上げるあなたさんの笑顔は眩しいほどに輝いていた。





侑「はいッ、任せてください!」





その笑顔に答えた返事にあなたさんはこの上ないほど嬉しそうに頬を緩ませた。

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