肌寒い朝に乾燥した空気
横では寝息を立てて生まれたままの姿で寝る愛おしい人の姿
真っ白のシーツには所々赤く染まった痕跡
下着をつけてほっくんがくれたもこもこのワンピースを着る
フレンチトーストを作って ほっくんが起きるまでぼーっと空を見詰める
今の時刻は朝の4時過ぎ
テレビ台の上にある紙を覗けば婚姻届と書かれた紙が1枚
緩む頬を引き締めて寝室に戻ると居なくなってるほっくん
松村 「 あ 、あなたおはよ 」
あなた 「 ほっくん ... っ 」
いつの間にか生まれてた不安をかき消す様に抱き着いた
体内に巡るほっくんの匂いと感じる体温
顔をあげればニコニコと効果音がつきそうな程微笑んでいたほっくん
松村 「 あなた 、嫌な事あった ? 」
あなた 「 ううん ... 何も無い 」
松村 「 これあげるよ 」
ほっくんが片手に持ってる長方形の高そうな箱
開けば細いチェーンに小さなハートにダイヤが埋まった物
こんな綺麗で高価な物つけていいのだろうか
と不安を抱いていれば
松村 「 あなた 、これ 」
ほっくんの首には銀色のお揃い物が付いてて
松村 「 細いから見えにくいし 、服にも隠れるよ 」
あなた 「 学校につけて行っていいの ? 」
松村 「 勿論 。バレないと思うし 」
" バレたら心中でもして幸せになろうよ "
ほっくんが呟いた一言に体がゾクッとした
あなた 「 本気なの ? 」
震える声を抑えるように述べても鋭いほっくんにはバレてるんだろう
松村 「 痛くないようにするって約束するよ 」
あなた 「 で 、でも ... メンバーは ? 」
メンバーも凄く大切だけど 、何て流暢に話すほっくん
それでも私を見詰める瞳は温かくて優しい瞳だった
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!