『or』side
おんりー達以外にも暖かく迎えてくれる人達がいる。
そう思うだけで心が嬉しい気持ちでいっぱいになった。
さっきの冷たさはいつの間にか消えてたし、大丈夫か。
その瞬間、ぴぴ、とすぐ近くで電子音が聞こえた。
『本部騎士団員の皆様、続いての訓練は反射神経、および動体視力を鍛えるものです。それぞれ、定位置についてください。』
横から穏やかなアルトボイスが聞こえた。
雨栗さんが自分の手首を指さしている。
なんていつも通りのふわふわボイスで話しながら、ルザクくんが僕の手を取った。
ルザクくんに置いてかれないように一生懸命走っていたら、いつの間にかだいぶ奥の方まで行っていた。
急に誰に話しかけたのかと思うと、腕輪から再び音が聞こえてきた。
『承知しました、おらふくん様、
ルザク様の隣の円へお入りください。』
さっきの男か女とも分からない不思議な声が僕の耳に入ってきた。
ルザクくんの床には半径2mくらいの円が描かれており、すぐ隣にも僕の円が描かれた。
右の方を見ると、雨栗さんやこめしょー、も円の中に立っていた。他の騎士団の方も。
『おらふくん様にはルザク様が付けている物と同じ腕輪を付けさせていただきます。』
その声が聞こえたあと、
僕の右手首にかちゃ、と腕輪がかかった。
『それでは、反射神経、動体視力テストを行います。
円の中に様々な色の球が現れますので、
球を壊してください。』
『1つ、球を壊すごとに、100ポイント。
また、稀に壊すことが難しい球が現れることがあります。それを壊すことが出来ると、500ポイントです。』
『壊す方法は問いません。武器を使っても、
【魔法】を使っても構いません。
制限時間は5分。10秒後にスタートします。』
説明が終わった後、円の円周から上に透明なバリアなようなものが伸び、ドーム型になった。
隣でルザクくんが励ましてくれた。
『3.2.1.スタートです。』
ピピー、と高い電子音が耳を貫いた。
ルザクくんが僕に飲み物を持ってきてくれた。
中身はおれんじジュースだった。
僕を含めた4人のポイントをまとめると、
ルザクくん 37000 ポイント
雨栗さん 35000 ポイント
僕 27000 ポイント
米将軍 25000ポイント
前にも言われた、おらふくんは目がいいよ、って。
正直、自覚はないけど。
僕の良いところなのかもしれない。
と、ルザクくんが意味ありげに右を向く。
その方向を見ると、ドズルさんとおんりーが話していた。
そう、名前を呼ぶと、ドズルさんが気づいてくれて、
おんりーも一緒に来てくれた。
そう聞いたおんりーの頬が少し赤い気がした。
なんだっけ、確か、動体視力.......、
さらりと言った。
ちら、とルザクくんの方を見ると、
ほら、凄いでしょ、と言わんばかりの顔だった。
やっぱ、凄いなぁ....、
つい、頬が緩んでしまう。
そう行って、さんちゃんくのみんなと別れた。
何故か、雨栗さんが最後に言った『騎士団にも是非』、
と言う言葉がずっと頭に残った。
帰り道。2人と横並びに歩きながら話す。
なんて、少し不安になった気持ちもある。
と、強い言葉が隣から帰ってきた。
その瞬間、自分の中の気持ちが固まった気がした。
自然と、2人の歩くスピードが遅くなった。
僕が話しやすいようにしてくれたのかもしれない。
どうしても、最後の方の声が小さくなってしまった。
だって、騎士団に入る、ってことはもちろん
誰かのことを守るってことだから。
誰かの「命」を。
責任をもって、やり遂げなければいけない。
また、ッ、泉、みたいに、
ドズルさんの声が僕の心を動かした。
おんりーの目がゆっくりとこちらを捉えた。
その目は迷っているようにも、覚悟を決めているようにも見えた。




















編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。