前日、13日。夜8時。
プルルルル…ピッ
げっ!
なんでこの人、私のケータイに番号入ってるの〜?
ひっ…!
声のトーン急に下がりすぎでしょ!
え〜?なんかあったっけ?
プツッ…プープープー
えぇ〜
いきなり電話しといて、それはないでしょ〜
う〜ん。なんかあったっけなぁ…
あっそうだ…。
黒澤くん、明日誕生日だ…
お祝いして欲しいのなぁ…
しょーがない!
あなた!はりきってケーキでも作ってあげますか!
14日、バレンタイン当日。
『きゃ〜!黒澤く〜ん!チョコもらって〜!』
す、すごすぎる…。
女子達の気合いの入り方がとんでもなくすざましい。
そんな時でも黒澤くんは相変わらず、
バッサリ!
バレンタインには女の子たちの愛と時間と金がかかってるのに!
こいつは!
勝手に百面相してると声をかけられた。
嫌な予感しかしない。
やっぱり〜!
怖いー!
行きたくない、行きたくないけど…
せっかく作っちゃったし、行かないととんでもないことされそうだし、行くしかないよね…
今日1日の足取りが、重い。
~放課後~
ガラガラとぎこちなく空き教室の扉をあける
時間指定なんかしなかったくせに…
うわぁぁ!やっぱその話題だよね☆
よ、よ〜しこうなったら…
なにかされる前にケーキを差し出す(なにかされると決まってた訳ではないけど)
やば、黒澤くんめっちゃあほ面してる
片手で顔を隠す、黒澤くん。
ホントは電話のあとに思い出しましたすみません!
フッと黒澤くんが笑った。
え
口が空いたままとじないことってホントにあるんだね〜
あはは〜
ってそうじゃなくて!
ひっ
私への仕打ちは人間離れしてる気がするのですが
しばらく、沈黙
誕生日だけど、バレンタインってこともあったからガトーショコラにしてみた
黒澤くん、甘いの大丈夫かなぁ…?
昨日頑張ってよかった!
瞬間、黒澤くんの目が変わる
ん?なんでそんなこと気にするんだ?
やば!
なんか、考えてたらいつの間にか壁際に詰め寄られてた
え、これ、どういう状況?
頭が軽くパニックなんだけど
そう言って顔を耳に近づけてくる。
チュッ
だ、だって!耳にキ、キスとか、何考えてるかわかんない!
今日はって…
まだ次もあるの!?
私はしばらくこの俺様王子から逃げられそうにありません。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。