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第1話

#1 バレンタイン~黒澤編~
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2018/01/24 23:26
前日、13日。夜8時。
プルルルル…ピッ
あなた

はい、もしもし?

黒澤 透也
おい、あなた。
明日はなんの日かよく知ってるよなぁ?
げっ!
なんでこの人、私のケータイに番号入ってるの〜?
あなた

あ、明日は、バレンタイン、ですけ、ど…

黒澤 透也
あぁ?
ひっ…!

声のトーン急に下がりすぎでしょ!
黒澤 透也
お前、まさかそれだけだと思ってねぇよな?
え〜?なんかあったっけ?
あなた

え、なにかありましたっけ…?

黒澤 透也
…もういい、明日、覚えとけよ
あなた

え、ちょ、まっ…

プツッ…プープープー
えぇ〜

いきなり電話しといて、それはないでしょ〜
う〜ん。なんかあったっけなぁ…




あっそうだ…。
黒澤くん、明日誕生日だ…
お祝いして欲しいのなぁ…
しょーがない!

あなた!はりきってケーキでも作ってあげますか!











14日、バレンタイン当日。
『きゃ〜!黒澤く〜ん!チョコもらって〜!』
す、すごすぎる…。

女子達の気合いの入り方がとんでもなくすざましい。
そんな時でも黒澤くんは相変わらず、
黒澤 透也
いい、いらね。
バッサリ!

バレンタインには女の子たちの愛と時間と金がかかってるのに!
こいつは!
黒澤 透也
おい
勝手に百面相してると声をかけられた。
あなた

な、なんですか?

嫌な予感しかしない。
黒澤 透也
放課後、いつもの空き教室にこい。1人でな
やっぱり〜!
怖いー!
黒澤 透也
返事は!?
あなた

は、はいぃ!

行きたくない、行きたくないけど…

せっかく作っちゃったし、行かないととんでもないことされそうだし、行くしかないよね…
今日1日の足取りが、重い。
~放課後~
あなた

し、失礼します…

ガラガラとぎこちなく空き教室の扉をあける
黒澤 透也
遅い。俺を何分待たせる気だ。
時間指定なんかしなかったくせに…
黒澤 透也
さぁ、お前、昨日はよくも…
うわぁぁ!やっぱその話題だよね☆

よ、よ〜しこうなったら…
あなた

は、はい!
これ!

なにかされる前にケーキを差し出す(なにかされると決まってた訳ではないけど)
黒澤 透也
…は?
やば、黒澤くんめっちゃあほ面してる
あなた

た、誕生日、だったよね?

黒澤 透也
あー…
片手で顔を隠す、黒澤くん。
あなた

え、違って、た?

黒澤 透也
いや、そうだ、けど…
お前、忘れてるんじゃなかったのかよ…
あなた

そ、そんなことないよ〜

ホントは電話のあとに思い出しましたすみません!
黒澤 透也
ま、ありがと、な
フッと黒澤くんが笑った。
黒澤 透也
お前、なんつー顔してんだよ
口が空いたままとじないことってホントにあるんだね〜
あはは〜

ってそうじゃなくて!
あなた

だって、黒澤くん、わらっ

黒澤 透也
は?
ひっ
黒澤 透也
あのなぁ、俺だって人並みの感情ぐらいあるぞ
私への仕打ちは人間離れしてる気がするのですが
しばらく、沈黙
黒澤 透也
なぁ、これ、食ってもいい?
あなた

え、あ、ど、どうぞ!

誕生日だけど、バレンタインってこともあったからガトーショコラにしてみた
黒澤くん、甘いの大丈夫かなぁ…?
黒澤 透也
ん、うっま
あなた

ホントに!?よかったぁ〜

昨日頑張ってよかった!
黒澤 透也
なぁ、お前今日誰かにチョコあげたのか?
あなた

え、そりゃ…

瞬間、黒澤くんの目が変わる
黒澤 透也
は?誰にだよ
ん?なんでそんなこと気にするんだ?
黒澤 透也
なぁ、言えよ。

やば!
なんか、考えてたらいつの間にか壁際に詰め寄られてた
あなた

え、あの…

黒澤 透也
ムカつく。
あなた

え?

黒澤 透也
俺以外のやつにチョコとかあげんなよ。
え、これ、どういう状況?
頭が軽くパニックなんだけど
あなた

そ、それはどういう意味…?

黒澤 透也
んだよ、分かれよ…。
そう言って顔を耳に近づけてくる。
チュッ
あなた

ひゃっ

黒澤 透也
フッ。声、えっろ。
だ、だって!耳にキ、キスとか、何考えてるかわかんない!
黒澤 透也
まぁ、今はこれくらいで勘弁してやるよ。
今日はって…
まだ次もあるの!?
黒澤 透也
次は、覚悟しとけよ…?





私はしばらくこの俺様王子から逃げられそうにありません。

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