そうだ。
勝己の言ってる通り何にも言えない。
だけど
私の力を狙っている忍は多くいる。
抜け忍や反国家勢力、言ったらキリがない。
そして
『十魂眼=尾獣化の女』
っていう認識が忍界にある。
雑魚の忍なら問題ない。
だけど、もしもそれが暁に知られたら?
私の居場所を吐かせるために勝己や1-Aのみんなを捕らえて殺すかもしれない。
ヤツらならやりかねない。
こっちにいることがバレないように。
そして彼らと少しでも長く過ごせるように。
私は私の出来ることを。
正面に座ってる勝己の頬に手を伸ばして、
口角が上がるように引っ張る。
せめてもの償いに君たちの笑顔は守ってみせるから。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!