私は、葵が生存していることを心から願った。
廃校の階段(噂の階段)を1段ずつ4人で手をつなぎながら
上がっていく。
一斉に4人は目を瞑った。
───パチッ
目を開くとそこには階段の端に
おカッパの不気味な人形がたくさん並べられ
た神社の砦のまえに来ていた。
ピチャッ
足を動かすと
水溜まりを踏んだ時のように
水が飛び散った。
……なんで水があるの?
代わりに光くんが私の聞きたいことを
花子くんに聞いてくれた。
花子くんと光くんの声がシンクロする。
何か愛羅ちゃんは変なことをいったのかな?
私にはよく分からない。
そう思っていると
チリリリリリンチリリリリリン
階段の真ん中に堂々と置いてある黒電話から
音が鳴った。
私がしぶしぶ電話を取ると花子くんが
すかさず奪ってきた。
そうはぐらかして花子くんは答えた。
私たちはこの場所の探索をしていった。
そう私たちは戸惑っていると
階段の端の方に置いてあった人形が
動き出した。
私と光くんは、足を捕まれ身動きが取れなくなった。
他のふたりは抜け出せたみたいだった。
数が多く張り付いてきて中々逃げることが出来ない……
人形達は、「時間だよっ」と口々に言っていた。
その時、私の首に大きな刃物の先が
向けられていた。
─────間に合わない……!
そうして私は目をつぶった。
がしゃーん!
パチッ
しぶしぶ目を開けると
小柄な愛羅ちゃんにお姫様抱っこされていた……
どうやらギリギリのところで助けてくれたらしい。
これこそまさに間一髪……
というか、なんで女子にお姫様抱っこされてんの?私……しかも
下級生だよ??
イケメン女子というのはこういう人のことを言うのか……
私の方が後輩みたい。
光くんもいつの間にか人形から
逃げることが出来たっぽい。
私は、後ろで光くんのシャツを掴んだ。
……?
なんか光くんが顔を赤くしている……
どうかしたのかな?
と思っていたら
ハサミがまた私たちに襲いかかってきた!
バンッ!
愛羅ちゃんは、動く人形のうちの
動かなくなった1つの人形を手に取って
ハサミに投げて命中したっぽい
当たった場所がハサミの支点の部分
だったから呆気なくハサミは壊れて落ちた。
がしゃーん
……
──────愛羅視点
?分後
祠に体の部分を入れていくのだ。
そんな中花子くんが掲げたのは……
胸パッドだった。
私は、ため息混じりに祠に入れることに
反対した。
花子くんの
変態さには本当に呆れる。
そうして私は、
胸パッドをひょいっと花子くんの手から
奪う。
おっきぃ……
私はなんとなく自分の胸を服の上から
触ってみる。
ち、小さい……
そう言って寧々ちゃんはぐっとサインを
くれた。
ガタッ
ギギ
ギギギ
ギーガチャ
急に祠がしまり、上の方からギギと鈍い音が響いて聞こえてきた。
何かが開いた音だ。
バァーン!
花子くんは唾を飲み込み
階段の上を指した。
緊迫した空気が漂う。
みんな警戒して階段を登っていく。
私たちは中に入っていく。
なんと、そこには私たちが集めたパーツが
組み合わされた人形があった……!
そんな少し和んだ空気の中背後から
足音が聞こえてきた。
コツコツコツ
だ、誰!?
着物の姿をしていて
整った顔立ちのおんなのひとだった。
その人は
ずんずんと私たちを無視して人形に近づいていく。
女の人は人形の頬に手をあてて
私たちの方向を向き
ニコッと嬉しそうに笑った。
少し拍子抜けだった。
恐ろしい姿の人形なのに何故かこの人
嬉しがっている……
✄------キリトリ------✄
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。