第113話
112 友達以上恋人未満
いつの間にか大所帯になっていて、ひたすらお好み焼きを焼き続ける。
…どんだけ食べるんだ、この人達。
美味しいと言って貰えて悪い気はしないが、韓国に来てまでお好み焼きを焼くとは思ってもなかった。
1時間もしない内に、全部食べてくれたメンバー達。
泊めてもらうかわりに、後片付けもと思い皿を洗っていると、
そう言われ、キッチンから追い出される。
他のメンバーも率先して片付けをしていて、少し申し訳なかったがお言葉に甘えてタバコを吸いに行く。
彼女の部屋に入り、少し窓を開ける。
タバコの電源を入れ、とりあえず秘書にメッセージを送った。
すぐに既読になり、返信がくる。
その返信を見て、スマホをポケットに入れた。
部屋に入るなり、そう言って私の背中に抱きついてくる彼女。
背中に軽すぎる重みを感じながら、いつもより吸い込む回数を減らす。
あの量を思い出してゾッとする。
背中越しに彼女が笑っているのが分かった。
ノックと同時に聞こえるサナさんの声。
彼女は、サッと離れ座り直し返事をする。
付き合った?
確かに、好きになったと伝えたが…
彼女は下を向いていて何も言わない。
サナさんの視線は、彼女から私に向けられる。
何で、サナさんが不服そうなんだろう?
何かその言い方、狡くないですか?
だから、言い方。
その後も散々挑発され、サナさんが部屋を出た後、変な空気に包まれる。
気にしなくてもって…
顔を真っ赤にしながら言われても、説得力に欠ける。
…久々の子犬。
その目をされたら、私的に恋人未満で居るって選択が出来ないんですが?
とりあえず、友達以上恋人未満の関係でもいいと思っていたのに…
その選択肢は、木っ端微塵に砕け散った。