無料スマホ夢小説ならプリ小説 byGMO

479
2022/01/10

第116話

115 今の自分の始まり
ミナ
ミナ
先にシャワー浴びて来ていいよ。
そう言われ、シャワーを浴びさせてもらった。
新品のタオルは全くと言っていい程、水を吸わない。
温まった体が少しずつ冷えていくのが分かる。
…寒い。
一言呟けば、聞こえる訳もないのに脱衣場に彼女が入ってきた。


…なぜ、開けた?
私、上半身裸ですけど?
先に下履いてて良かった。
…いや、待て!
そうじゃなくて、何で入ってきた?
出て行って下さい。
肩にはタオルがかかっていて、全て曝け出している訳ではない。
それに、彼女には背中を向けている。
けど、見られたくはない…
ミナ
ミナ
…ごめん。
けど、ずっと気になってたから。
彼女の気配がゆっくり近付いてきて、背中を捕らえられる。
ミナ
ミナ
嫌やったら言わんくていい。
ゆっくりと回された手は震えていた。
ミナ
ミナ
…何で胸ないん?
やっぱり、気になるよな。
一緒の性別なのに、一緒のものがないのだから…
…父に言われて切除しました。
ミナ
ミナ
…お父さん?
彼女の声が震えている。
女が社長だと舐められる。
だから、女性らしさを無くす為に
長い髪を切って、胸を取って…
少しでも反発したくて、 刺青タトゥー
彫って、それが今の私の始まりです。
ミナ
ミナ
辛くなかったん?
辛くなかったですよ。
辛くはなかった…
ただ、命令に従うしかない自分に腹が立っただけだった。
それよりも、今聞こえてくる彼女の震えた声の方が私には辛い。


彼女の手に自分の手を添える。
ギュッと握れば、彼女は子どもの様に泣き出した。
えっ?
ちょっ、何で泣くんですか?
ミナ
ミナ
辛ない訳ないやん。
父の言葉に辛さは感じません。
けど、ミナさんに泣かれるのは
辛いです。
ミナ
ミナ
…えっ?
彼女の腕を一度解き、服を着る。
体は冷え切っていて、背中に彼女の体温だけが残っていた。
彼女と向き合う形になれば、私の中に飛び込んでくる。
だから、泣かないで下さい。
冷えた指先で涙を拭えば、「冷たい」と文句を言われた。
冷たいって…
服濡れた状態で抱き付いてくる人に
言われたくありません。
少し下を見れば、目が合いニヤニヤしているのに気付く。
ミナ
ミナ
なら、今からお風呂入る。
私の中に居た彼女は、少し離れ服を脱ぎだそうとしている。


待って下さい。
ここから出させて下さい。


なんとか脱衣場から脱出し、彼女の部屋に戻る。


先に歯磨きしといて良かった…


呑気な事を思いながら、スマホを手に取る。
親友の名前を探し、メッセージを送った。
話ある。
いつもレスポンスが速い親友。
すぐに既読がつき、返信がくる。
親友
いい話?
それは自分で判断して。
親友
電話する。
かけていい状況?
こっちからする。
電話をかければ、ワンコールも鳴り終わらない内に声が聞こえた。
出るの早すぎるて若干引く。
親友
いや、さっきまで
やり取りしてたんだから早くて
当たり前。
てか、何でテレビ電話?
ん?
なんか顔見たくなった。
親友
…頭打った?
で、葵はカメラOFFって何?
んー?
特に意味はない。
…タバコ吸ってる?
恋人が怒るから辞めるって
言ってなかったっけ?
親友
恋人の前では絶対吸わないよ。
けど、仕事でちょっとね。
苛々した時だけ吸ってる。
はぁ…
タバコ吸いたい。
親友
えっ?
吸えばいいじゃん。
ホテルとかに居て吸えない状況なの?
ホテルではないが吸えない。
タバコはあるのに吸えない。
あー、生き地獄ってこういう事なのかな…
親友
てか、話って何?
タバコに気を取られ、肝心な事をすっかり忘れていた。
しかし、なんともタイミングよく扉が開き、彼女がシャワーから戻ってきた。
私は、彼女にスマホを向けカメラをONにする。