第8話

喧嘩
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2018/11/27 12:51
あなた

……。

朝起きると太郎はもう出掛けていた
それもそうか
だって今朝の10時だし
今日は早起きして朝ごはんを作る気分じゃなかった
机に置き手紙があった
『あまり無理するなよ。今日はゆっくり休め。俺は仕事に行ってくる』
初めてだった
太郎とこんなにも気まづい空気になったのは
20年以上一緒にいて初めての経験だった
………………………………………………………………
亜門鋼太朗
ただいま
夕方になって太郎が返ってきた
亜門鋼太朗
まだ調子悪いのか
私はあれから布団に潜った
あなた

…。

亜門鋼太朗
いい加減何か言ったらどうなんだ
太郎が呆れながらもビニール袋を私の枕元に置いた
あなた

なにこれ。

亜門鋼太朗
薬だ
あなた

いらない

亜門鋼太朗
あなた、お前いい加減にしろ
あなた

なんで怒られなきゃいけないの
私何もしてない

亜門鋼太朗
言わないとわからないだろ
あなた

じゃあ!
私がもし喰種だったら太郎は今までと変わらず駆逐する!?

私は布団から勢いよく上がって聞いた
亜門鋼太朗
……。
あなた

ねぇ!
答えてよ!

亜門鋼太朗
そうだな。
今までと同じようにあなたが喰種であろうと駆逐する
あなた

そう。

私は再び布団の中に潜った
亜門鋼太朗
あなた
あなた

なに

亜門鋼太朗
お前は喰種なのか
あなた

もしそうだと言ったら。なに

亜門鋼太朗
いや、なんでもない
初めて。
喧嘩した。
太郎は私が喰種って本気で思ってるのかな
もし。
もし。そうだったら今すぐ私を駆逐するはず。
きっと信じてないんだよね






私が喰種だってこと。

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