第26話
秘蔵の酒
~エスタロッサ目線~
赤目赤髪の男……ルージュとかいったかーーーと
しばらく他愛のない話をしていると、突然何かを
思い付いたようなそぶりを見せた。
ーーーそう言ったかと思えば、そいつは
温泉の縁の岩影のほうに行ってしまった。
こっちからは見えないが、
そこからゴソゴソ…と、何か音がしている。
しばらくして、戻ってきた
ルージュの手にあったのは………
🍺🍺🍺🍺…
ニコニコと笑いながら持ってきたのは、
『超貴重㊙️幻の虹麦、雷鳴酒』
…とラベルに書かれた酒瓶4本だった。
ほうほう♪酒か♪
…ん?待てよ。
・・・あれ、珍しい酒だよな?
虹麦なんて材料はおろか、雷鳴酒っつぅ
名前さえ、俺でも聞いたことねぇんだが…
その酒を惜しみなく
それぞれに手渡していくルージュ。
“超貴重”って意味、分かってんのか?
あっという間に上機嫌になるガラン。
既にガバガバと飲み始めている。
おいおい、温泉に溢すなよ…
ゼルドリスの奴は興味がなさそうだが、
あまり満更でもないようだ。
・・・あ、一口飲んだ。
・・・え、なんか目を見開いて驚いてる?!
そんなに美味いのか?!この酒…
二人を観察して酒をまだ飲もうとしていなかった
俺に、ルージュが飲めとすすめてきた。
ーーーって、早っ?!
もう半分飲んだのかよ?!
呆れながらも訊ねる俺。
結構、量あると思うんだが………
あ、駄目だ。こいつ酔ってるわ……
半笑いの俺に、ルージュは
アハハハ…wwと楽しそうに笑っている。
笑い上戸も入ってたか…
カチャン、と瓶と瓶を合わせ、
小気味いい音を鳴らすルージュ。
今一緒に酒を飲んでいるのが、十戒、
しかも三人なんて思いもしてねぇんだろうな…
何はともあれ、せっかくの酒だ。しかも秘蔵物。
美味いのはゼルドリスの奴の反応で
確定だし、俺も飲むとしよう。
ーーーグビリ。
・・・絶対後から羨ましがるであろう、
酒好きなメラスキュラ。
酒の匂いに敏感なあいつに、なんて言い訳しようか
考えながら酒をあおる俺なのだった。
くはっ、美味いなこれ!🍺
メチャクチャ美っっっ味!
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