ふよふよ・・・ふよふよ・・・
私の意識は不安定に覚醒していた。
身体と魂が、最初は合っていないから
こうなるらしいーーーーーあのポンコツ神いわく。
身体の五感全ては麻痺しているのか、
感じることはできない。
人は、五感の感覚をなくして真っ暗な空間に
放り込むと、すぐに発狂してしまうらしい。
だが、今の私はあのポンコツ神の手によって
精神が大幅に強化されていた。
暇だからと、分かっていることばかり
考えている今の私が証拠である。
ーーーーーーーーーーーーーーちく
ふいに身体に痛みが走る。
痛覚が・・・?つまり感覚が戻ったのだろうか?
続けて、サアッ・・・と、
ゆるやかなそよ風を肌に感じる。
まだ開けていない瞼の隙間から分かる、
僅かな光も。
耳には「ピチチチチ・・・」と、
小鳥のさえずりまで聞こえてーーーーーーー
・・・ズシン・・・ズシン・・・ズシン・・・
そう思い、ゆっくりと目を開ける。
・・・はい。
でたよ、ザ・森。
転生ものでよくある第一歩目だよねー
とか考えながら体を起こす。
目に入ってきたのはーーーーー
見渡す限り、自然、自然、自然。
・・・いや、街とかないの?
転生先、設定し忘れてたっスーとかなんとか
ほざいてたあのポンコツ神のせいなのかも。
それなら?仕方ないけどさぁ。
人一人いないし。
ーーーいや、生き物一匹いないし・・・
これで私にどうしろと?
・・・あのポンコツ神め・・・
ーーーーー言ってみても現状は変わるはずもなく。
歩くか。面倒くさいけど。
周りを見渡しても、
さっきと同じように生き物一匹いない。
私に関係ないし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
進み始めてから一時間後。。。
ずっと歩いているのも暇なので、私は休み休み
行く合間に、ポンコツ神からもらった能力を
色々と試していた。
今やっている魔法は、
その名の通り側近を召喚するものだ。
私に側近とかいないよねーww、と思ったそこの君!
侮るなかれ!( ・`д・´)キリッ!
・・・あ、単に今、性格とか姿を設定したから
喚ぶだけです。ゴメンナサイ。(´-ω-)人
まぁ、ともかく。
私の魔力が自分でもどのくらいあるのか
知らないんだよね。感覚的なものだし・・・
強化されているとはいえど、この先何が
あるのか分からないから、というのもあるけど。
だから一番魔力を使わなそうな、人?
を、召喚してみた。
ーーーーーら。
ポンッと間の抜けた音がして、
砂煙の中からでてきたのはーーーーーー・・・
え、なんで猫?詠唱間違えたかな?
いやでも短いし、間違えようないよね?え?
どういうこと?あれー?ーーーーー
一気に頭が混乱するのが分かった。
あ、白猫なんだ・・・
・・・混乱し過ぎて、現実逃避するのも分かった。
・・・え、もしかして私が言ってることわかるの?!
じ、じゃあ召喚はこれで間違いないのかな?
さらに混乱する私。
私の足元に近づいてくる猫。
つい私もしゃがんで、猫ちゃん(仮)の柔らかい
毛並みをなでなでする。
あーやっぱり猫はいいなぁ。
可愛いし・・・❤
ちなみに私、猫派です。
話に入ってくるな作者。
何なんだいったい・・・。
でも猫派がいいよね!ゼッタイ!(←偏見&独断)
ほら、「うん!」だって!
猫ちゃんもそう言ってるし。
あれ?違うみたい・・・
それから無言で前足を私に差し出してくる猫ちゃん。
・・・そっと目をそらす私。
だ、だって、ま、間違えちゃったからなのか
猫ちゃんの目力が・・・💦
猫に睨まれるのは普通、ないよね?
(ФωФ)・・・。 (/ω・\)チラッ・・・
・・・やっぱり怖いよぉー!💦
さっきより強く鳴く猫ちゃん。
私はおずおずと猫ちゃんの前足に触れてーーーーー
ーーーーーーーーーーーピカッ!!!✴
触れた瞬間、猫ちゃんから強い光。
驚く私をよそに光はだんだんと収まっていく。
そこにいた猫ちゃんはーーーーー
ーーーー夜のような、真っ黒の毛並みになっていた。
思わずため息をつく私。
異世界はこういうものなんだって、
割り切るしかないのかなぁ・・・ははははは。
・・・・・・・・・・え。
今、声したよね。
・・・どこから?
・・・ね、ね、ね、猫ちゃん?!!
異世界って、猫も喋るの?!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
いや、主人はどっちですか。
というか、何様なんですか?お姉さま・・・
話し出した猫ちゃんーーーもとい猫お姉さまは、
どこかの漫画の中にいそうな高慢な性格
でしたとさ。終わり。
一応聞いてみた。
だめだ、私じゃ無理だよぅ・・・(💧´Д`)
なんか、自分中心だなぁ・・・まさに猫。
随分いきなりだなぁ・・・
あ、でも知ってて当然なことなのかも?
それなら私が無知なだけってことだよね?
・・・ま、いっか!
そっちの考えは放棄する。
別に、猫お姉さまがすごい目で睨んできてるからじゃないよ?
うーん・・・どうしよう。
変な名前とかつけたら怒りそうだし・・・
猫お姉さまをジッと見る。
ーーー黒い毛並みと、金色の瞳が目に入った。
・・・黒・・・漆黒・・・夜?・・・夜に・・・
金色?・・・星・・・・・・月ーーーーー
猫お姉さまの見た目から、夜の空を連想した
からなんだけど・・・安直だったかな?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あなたの時を少し遡るーーーーー
あなたいわくの「ポンコツ神」と
打ち合わせをしているとき。
📋✒φ(..💧)カキカキ・・・
ーーーーーという、こんな会話があったのだ。
ただし、これはあなたが記憶をなくした?
前のことである。
今のあなたが知るよしもない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・ということを説明してもらった。今。
もちろんムーン・・・さんに。
どうって・・・
そう言ってさっさと歩き出すムーン。
ムーンは、ポカンとして突っ立ったままの私を
気にとめることもなく進んでいく。
ーーーーーーはぁ。
私は大きくため息をつき、
随分先に行ってしまったムーンを
あわてて追いかけるのだった。
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編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。