見回すと、先輩女子の隣に座っているそらを見つけた。
···そらと先輩は、大げさな身振り手振りを交えながら、楽しそうに話している。
あの様子だと、結構飲んでいるみたい。
一瞬そらと目が合った気がして、なぜか目をそらしてしまった。
···ま、そらが誰となにしてようが彼の自由だ。
何気なく運んできてくれた店員を振り返ると、
どきりとした。
やたら眼力の強い派手めな男と、目が合った。
鋭い眼光に射抜かれ、私はすぐに目をそらした。
こ、こわぁ···。
私は派手な男子は苦手なの。
直ぐに店員は引っ込んでしまったが、心臓がしばらくバクバクと脈打っていた。
夜がふけて、飲み会もようやくお開きとなる。
私はいつものように、そらと一緒に帰ろうと周りを見渡す。
あれ···?
そらの姿がみつからない。
まあ、先に外で待ってるのかもね。
外に出ると、少し肌寒さを感じた。
なにやってるの?
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編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!