第8話

第一の手記

2021/01/16 12:32

ぼくが本丸に顕現してから2年が経った、
刀剣男士も増え、本丸は勢力を伸ばす一方で
ぼくは今だに対人関係というのが
どうも上手くいかない。
何しろ今まで同じ刀派の者からも
「兄弟」として扱われなかったので
話す機会がなかった、というのもある。
しかし根本的には、最終的には、元を辿れば
自分が、自分の思想や言動が
他の刀とは全く違ったのだ。
秘めている、とはいえ
そこまで「問題視」されているとは
思いもしなかった。
そこで自分を改めるべく…
というのは半分ほど建前で
本当はこの生活に少し嫌気がさして

(嫌気、と言うと聞こえが悪いけど
この本丸に来てからはずっと
1人でいたから精神的に来てしまったのかな)

長期遠征に行きたいと頼んでみた。
すると案外、あっさりと承諾され
こうして旅の仕度をして
ポケットに収まる大きさの
「朝尊式簡易時間溯行機」を持ち
ぼくは世界線旅行に出掛けた。

                         亀甲貞宗。