冬真
あー今日はあっちーな汗
そろそろ家帰ろっかなと思いBMXを走らせた
家の前には、お団子頭のキャリーバックを
もつ女の子
あなたが帰ってきたんだ
確信はないのになぜかそう思った
あの日、あなたはお団子頭だったから
あれは17年前のこと、俺は4歳
ほとんど記憶なんて残ってないのに
あなたの姿だけは覚えている
SeaSonsにお団子の女の子が
突然入ってきた。お昼時だった。
すごくすごく悲しそうな顔をして
その日から俺らは4人兄妹になったんだ
でも、あなたは3年前
急に家を出て行った
それからは、1度も連絡はない
そう思ったら勝手に体が動いていた
ギュッ
ゆっくり女の子が振り返り
俺の顔を見た
逃げるように、BMXを走らせた
そういえば、あなたを探さなくなったのは
いつからだろう…
兄ちゃんなんか東京に行った時に
探してたのに、やっぱり見つからないって
あなた今頃何してんだろーなー
どーせ、チビなんだろうなー
海の方へ少しぶらぶらして
また家の方に戻ると
今度は、ポニーテールの女の子が
家の前に立っていた
俺は確信した
こっちは本物のあなただ
帰ってきたんだ!
ギュッ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!