夕方、早めに切り上げた私は
SeaSonsの厨房にいた
使っていいかの許可はとってない…
夏向がしこみに来る時までに
完成させなきゃ
本当はこの缶ずめのデミソースは
使って欲しくない…
でも、今の夏向の気持ちのままなら
美味しいオムバーグは作れない
私がいえたことじゃないのに
そう思った
少しとろみが出てきたところで
味を見る
とりあえず思ったものを入れてみる
ただ適当に入れたら、材料を
無駄にすることになるから
極力無駄が出ないように…
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楓さんの手の中に、さっき頂いた
ブレスレットをおく
楓さんに伝えたいことを
しっかり伝えると
来た道をもどる
次第に足は早くなる
もういないのは分かってるけど
どうしても、戻りたかった
え、、
待っててくれた??
もう辺りは真っ暗、もう閉園している
それなのに、、
夜の水族館に忍び込み
警備員に追われ、自然に千秋さんとの
距離も近づいていた
やっとの思いで、水族館から逃げ出した
時は何もかも吹き飛んで
2人で笑いを零した
最初は驚いたけど、
だんだん冗談だってことがわかり
でも、千秋さんが楽しんでくれてたのが
とっても嬉しかった
やっぱり、気持ちはハッキリさせた方がいい
その方が思い切り楽しめるし
たくさん喜べる
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。