side:YOU
体育館を覗いていると
あの隣の男子が気がついて近づいてくる
赤葦「 東久邇さん?」
『 あ、… 』
赤葦「 来てくれたんですね。堂宮さんのところはもう行ってきたんですか?」
『 うんまあ、… 楽器は難しかった、』
赤葦「 あ、もしかしてあの不協和音 … 」
彼は何かを察したらしい、
それ以上は言われなかった。
赤葦「 どうぞ中に入って見学していってくださいって ……… 」
木兎「 あかーし!この子誰だぁ???!」
『 …… (引き) 』
扉を開けてくれて中に入ろうとしたら
目の前にドアップに人の顔があって
咄嗟に引いた。… 近いのに声デカ、
赤葦「 木兎さん、怖がってるんで離れてもらっていいですか?」
木兎「 あ、すまんすまん 」
『 … いえ、』
そう言われて素直に顔が下がっていく
… 顔が上に戻って行ったぞ、
この人どんだけ背高いんだよ。
てかさっきぼくとさん、って言わなかった?
もしかしてこの人が前に言ってた人 …
赤葦「 あ、この人はバレー部の主将木兎さんです 」
木兎「 木兎光太郎だ!お前は誰だ!」
『 … 東久邇あなたです、』
赤葦「 今日うちのクラスに転校してきた転校生やんです。入る部活を考えているらしくて見学してもらってもいいですか?」
木兎「 おー、入部してくれるのか!??もちろんいいぞ!!」
赤葦「 いや見学ですけど 」
全く噛み合ってない会話、これ需要あんのか?
なんて思っていると他の人たちが集まってくる
雀田「 え!マネージャーの子??」
赤葦「 まだ希望段階ですけど 」
白福「 うれしい、仲良くしよ 」
『 え、あ、はい 』
突然手を握られ呆然とする
あの人たち … 私を見てもなんの反応もない。
クラスの人たちや見学に行った部活動の人たちには
ヤンキーとか怖いとか言ってきたのに。
『 … 何も、言わないんですか?』
白福「 え?」
『 ヤンキーとか、怖い、とか … ないんですか?』
不思議すぎて聞いてしまった
でも手を握ってる先輩はキョトンと私を見てきて
白福「 別に、思わないけど?」
『 … そうですか 』
雀田「 だって赤葦と仲良いんだから悪い子じゃないって信じてるもん!」
『 信じてる …?』
雀田「 そうだよ、2年なのにうちの副主将の赤葦京治くん 」
木兎「 あかーしはうちの自慢のセッターなんだぞ!!」
赤葦「 やめてくださいそういうの 」
木兎「 いいじゃんかー 」
そう言いながらも褒められた彼は少しだけ嬉しそうだ
そうして思った。
ここは、今までのところとは違うなと
木兎「 あ、俺もあなたのこと怖いとは思わないぞ
どっちかと言えばカッコいいと思う!その金髪も、サングラスも耳につけてるピアスも!全部似合ってるっ!!」
『 !?』
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。