第23話

「 居場所 」
2,431
2023/02/03 10:11

side:五条






『 クッソ、!!!』













何回かけても着信拒否になる携帯を



仮眠室のソファーへと投げつける。



するとドアの向こうから少し怯えている棘が見えた











『 … ごめん棘、なんだった?』




狗巻「 … いくら?」




『 大丈夫だよ、… ただ、ちょっとね?』




狗巻「 たかなたかな、… おかか 」













どうやら棘もあなたのことを探してくれていたらしい



が、見つからなかったようで



俺に報告して肩を落とす。



本当に、アイツはどこに行ったんだよ ……














家入「 おうおう荒れてんね、最強さん 」




『 … 硝子、』













そんな僕たちの所へきたのは高専の同期で



職場の同僚の家入硝子。



呑気そうな態度で入ってきて



珍しく感情をあらわにしている僕を見て笑っている














家入「 あはは、相当だね??」




『 … 当たり前でしょ。自分の生徒が一晩で行方くらましてそのまま連絡つかないんだから 』




家入「 自分が傷付けたのに?」




『 は?』














同期の発言に思わず出てしまった素の声。



どうしてこいつは僕とあなたの間にあったことを知っている?



野薔薇たちから聞いた??



いや、待てよ。硝子がもしでもあなたと連絡をとっていたとしたら、… ?














『 ねぇ硝子、。あなたの居場所知ってるの?』




家入「 … さあな 」




『 知ってるなら、教えてほしい 』




家入「 … 何故。」




『 あなたに聞きたいことがあるんだ。あの日本当は何があったのか 』




家入「 はっ、あなたの話を聞かなかったのは自分の癖に今更何?」













硝子が僕を軽蔑するような目で見る



その眼はひどく冷たい













『 っ、確かに … それはそうだけど、、あの状況では愛花を庇うしかなくて、』




家入「 そうじゃねぇだろ。何があったかわからないならどっちの味方にもつかず中立な立場で物事を見るのが基本だろ。教師なら尚更だ 」




『 … あなたなら、大丈夫だと思ったんだ。…… あとで、話を聞けばいいと … っ 』




家入「 最低だな 」













硝子の言葉は僕の心にナイフのように突き刺さる



棘は僕たちの話を黙って聞いている。



しかし僕は生徒がいるのに構わず



部屋から出て行こうとする硝子の腕を掴む













『 待って、… 最低なことは分かってる、でも … あなたの居場所だけ、教えて 』




家入「 …… 」




『 お願い 』














こんなに必死になったのは多分今回が初めて。



こんなに弱くなったのも初めて。



本当にどうすればいいかわからなくて、



心配で心配で、もう人に頼るしかなくて …



最低だと自負している、だから一言でもあって謝って



また、ここに戻ってきてもらいたい。



けど、そんな思いは硝子によって下ろされた僕の腕と共に下へと落ちていく













家入「 … アイツとの約束、覚えてるか?」



























夏油「 あなたあ の 子を傷付けたなら、例え悟だろうと硝子だろうと許さないよ。」



























家入「 これはアイツの遺言だ。
そして私も、お前を許すつもりはない 」














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