第23話

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2022/05/23 11:18





僕たちの無言の間を気まずい空気が流れる



あなたは袋を見たまま固まって動かないし、僕は僕で何も言えないどころかきっと真っ青な顔をしているだろう





最悪だ...ほんとに最悪だ



見られただけでも恥ずかしくて死にたいのに、僕は4年前にフラれたわけだし



挙句の果てに期待してそんなものを用意して、気持ち悪いと思われても仕方がない



もはや縁を切られる可能性すら考えて、僕は少し泣きたくなった





月島「......あなた、」



恐る恐る声をかけるも、反応のない想い人に、後悔を募らせる



あなたのことだから無理やり笑い飛ばしつつ僕と距離をとるか、いや、普通に無理とか言われる可能性も全然あるな...





月島「...あなた、」





下手すれば今すぐ家から追い出される覚悟すら決めて、ゆっくりベランダから部屋に入る



気まずい空気にいたたまれなくなりながら、ゆっくりとあなたに近づいた、ところで、



僕は異変に気づく





月島「ちょ...なんでそんな顔真っ赤なワケ、」



あなた「っ......蛍、これ、これって、...」





戸惑いながら真っ赤な顔で、潤んだ瞳で僕を見上げるその表情に



僕の理性が弾け飛びそうなほどカッと身体が熱くなった





月島「っ....ご、めん、やっぱちょっとシャワー借りていい?浴びたらすぐ帰るから心配しないで。あとそれ捨てていいから」





いまあなたの近くにいたらダメだ



擦り切れそうな理性が警鐘をあげている



僕はあなたの返事も聞かずに服を脱いで冷水を頭からかぶった





頼むから、落ち着け、僕、頭を冷やせ、



あなたを傷つけたいなんて微塵も思っていないのに、このままじゃ本能のままに手を出してしまいそうで怖い



大切にしたい、のに










月島「ごめん、勝手にシャワー借りて」



しばらくの間頭から冷水をかぶって少し落ち着いた僕は、どんな顔をすればいいかも分からないまま浴室を出た





あなた「あ、おかえ、り、」


月島「......変なもの見せて悪かったよ。僕帰るから安心して」


あなた「え、帰るの、夜中だよ?」


月島「バカじゃないの、帰るに決まってんじゃん。あなたこそ僕が近くにいたら落ち着けないでしょ」


あなた「でも、...」




自己嫌悪と苛立ちと欲にまみれて、そんな自分を隠すために出てくる言葉が刺々しいことには気づいていたけどどうしようもない





あなた「もう少しいようよ、」



月島「...は?」



あなた「このまま一緒にいてほしい」



月島「...自分が何言ってるか分かってんの」



あなた「分かってる、つもりだけど...」









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