チーム3がロレンツォ達と合流した頃、不死川と悲鳴嶼は呼吸を使い、鬼を倒していた。
ひと段落ついたと思いきや、鬼が来た方向から新たにダダダダダッという誰かが走る音が聞こえる。また、足音だけでなく、何かを叫んでいる。
声の主の姿がようやく見え、真戸達は唖然とする。現れたのは青い着物に白い羽織を羽織った髪の長い人間の男性。桂小太郎だ。
桂は不死川や亜門達の間を走り抜け、そのまま行ってしまう。
桂の後ろ姿が見えなくなり、不死川は追うか追わないか迷い、自分の頭を搔いた。
正直、あんな変な奴を追うのは……と思っている部分もあったが、不死川は面倒くさそうにして溜息をつく。
不死川が行こうとすると、鉄腸が口を開き「俺も行こう」と口にした。
鉄腸はそう言うと、桂の後を追ってすぐさま走り出す。その速さに圧倒されながらも、遅れをとるわけにはいかまいと不死川も後を追うように走り出した。
悲鳴嶼は自分と不死川が鬼殺隊だと正直に答えたが、亜門や真戸、閻魔やキングは自分の正体を明かすのを躊躇った。
それを察したのか、征陸はフッと笑い「そうかい。取り敢えず、お前さん等が普通の人間じゃないってのは分かった」と言って深く追求することはしなかった。
そう言って走って行く真戸暁に亜門もついて行き、征陸がやれやれ……とでもいうように苦笑いした。
一人そんな事を呟きながら、征陸も真戸達の後を追って走り出した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。