第21話

チーム3 伊黒さんの反論
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2020/04/07 15:36
エリザベスを連れ廊下を進んでいた伊黒達。
廊下の外側から左右同時に破壊音が聞こえ、シロ達がビクッとする。
因みに、この時チーム1はホールで怪人と闘っており、チーム2は神代と神楽の喧嘩が勃発していた。破壊音はその二チームによる音なのだが、そんな事伊黒達は知る由もない。
甘露寺蜜璃
甘露寺蜜璃
他のみんなは大丈夫かしら……。
芥子
芥子
そもそも困ったことに誰が来てるかすら分からないでーす……。
廊下を歩いていると、次第に廊下は大きく広がり、上に行く階段と下に行く階段。また、左右には他の道がある。
何処に進めば良いか分からず、伊黒達は立ち止まってしまう。
伊黒小芭内
伊黒小芭内
一体何処に行けばいいんだか……。
困ったように伊黒が呟くと、左右にあった廊下から大人数で迫って来るような、激しい足音が近付いてくる。
シロ
シロ
なになに!?怖い!
エリザベス
エリザベス
『下がって!』
ルリオ
ルリオ
いや、お前は闘えんのかよ……?
柿助
柿助
うわああ!足音が近付いてくる!
シロ達がエリザベスや伊黒、甘露寺の後ろに隠れ、伊黒と甘露寺は刀を構える。
天人がぞろぞろと現れ、シロが「あれ何!?」と天人達を見ていい、エリザベスが簡単に天人の説明をする。
天人が宇宙人である事を知り、伊黒達は驚くが、そうしている間に天人が襲いかかってくる。
伊黒小芭内
伊黒小芭内
蛇の呼吸、壱の型 委蛇斬り……!
伊黒が呼吸を使い、それに続いて甘露寺も呼吸を使用する。
甘露寺蜜璃
甘露寺蜜璃
恋の呼吸、壱の型 初恋のわななき!
相手が鬼じゃないという事で、伊黒と甘露寺はあえて攻撃を外し、その勢いで天人達を吹き飛ばす。そして「上に行け!」といい、シロ達は急いで階段を上る。
シロ
シロ
わあああ!こっちまで来てる!
芥子
芥子
てやああああ!
芥子が背負っていたかやで天人達を投げ飛ばし、シロ達に「皆さん。私達は獄卒です!あの宇宙人達を亡者だと思って罰を与えるですよ!」と喝を入れる。
ルリオ
ルリオ
俺としたことが……。あまりにも平和過ぎて自分達が獄卒で並の動物じゃねぇってことすっかり忘れそうになってたぜ。
柿助
柿助
おらあああ!反撃だあああ!
甘露寺達の攻撃で砕けた壁や床の欠片を手一杯に持ち、柿助がルリオの背中に乗る。
ルリオが飛び、上から柿助が持っていた欠片を勢いよく投げる。
シロ
シロ
がう!がう!ぐるる〜!
エリザベス
エリザベス
『シロ君!良いぞ!もっと噛んでやりなさい!』
シロ
シロ
噛むのは得意だよ!任せろー!
階段で反撃し始めたシロ達を見て、伊黒が「意外とやるな……」と少し感心する。
甘露寺と一緒に伊黒が階段の方に近付くが、「そこをどくがよかろー!」と、誰かの声が聞こえて小さな黒い弾が投げられる。
その弾が何かを直ぐに察した伊黒は「おい!階段から離れろ!」と大声を上げる。
次の瞬間弾が爆発し、一気に天人達が吹き飛んだ。
ドン(首領)・ヴァレンティーノ
ドン(首領)・ヴァレンティーノ
シャーシャッシャッシャッ!
このワシ、ドン・ヴァレンティーノの登場であろー!
ロレンツォ
ロレンツォ
キャー!ドンンン!カッコイイー!
喋るヤギに、袋被った謎の男性の声だけが広い廊下に響き渡り、伊黒や甘露寺、シロ達や芥子は呆然とその一匹と一人を見ていた。
伊黒小芭内
伊黒小芭内
(また変なのが来たぞ……。だから何故喋る動物に被り物のオッサンばかりなんだ!というか、同種多くないか!?)
何故喋る動物や被り物のオッサンキャラがこうも多いのか、と疑問になる伊黒の隣で甘露寺が「動物に好かれてるのかしら。伊黒さん」と呟きながら伊黒に視線を移す。
伊黒小芭内
伊黒小芭内
いや、俺じゃなくて……きっと、甘露寺が好かれやすい体質なんじゃないか?動物に。
甘露寺蜜璃
甘露寺蜜璃
そうかしら?
伊黒小芭内
伊黒小芭内
(喋る動物に好かれるのはともかく、被り物の野郎共に好かれるのは大問題だがな)
倒れている天人を避けるようにヴァレンティーノが伊黒の前に立つ。そして、短い手を伊黒と甘露寺に向ける。
ドン(首領)・ヴァレンティーノ
ドン(首領)・ヴァレンティーノ
見たところ、お前達は仲間で間違いなかろー。この世界から出るには、仲間と合流し、集まり、共に闘わなければならぬであろー。
お前達の名前を教えるがよかろー。ワシ、ドン・ヴァレンティーノが手を貸してやらなくもなくもなくもない!
ロレンツォ
ロレンツォ
流石ドン!
見ず知らずの人にも手を貸すだなんて、優しい!
伊黒小芭内
伊黒小芭内
(ヤギが上から目線なんだが……何だ、こいつらは)
甘露寺の前だからなのか、多少のイラつきを抑え、伊黒は不機嫌そうにしながらも「伊黒小芭内だ」と名前を言う。
甘露寺蜜璃
甘露寺蜜璃
私は甘露寺蜜璃です。宜しくねヤギさん。
ドン(首領)・ヴァレンティーノ
ドン(首領)・ヴァレンティーノ
うむ。可愛らしい娘であろー。
ヴァレンティーノが甘露寺にデレる瞬間を見た伊黒はキッとヴァレンティーノを睨みつけるが、反応していたのは伊黒だけでは無かった。
ロレンツォ
ロレンツォ
ドン!こんな……こんな胸元をさらけ出す様な破廉恥な娘に騙されては行けません!
甘露寺蜜璃
甘露寺蜜璃
え……!?は、破廉恥……!?
伊黒小芭内
伊黒小芭内
黙って聞いていれば、おい……袋。初対面で一体甘露寺の何処を見ている……!そして、甘露寺に対して破廉恥とはなんだ!
ロレンツォ
ロレンツォ
見たまんまでしょう!嫌でも目に付くんですよ。まだ若い女性がなんとはしたない!
嫁入り前の娘が易々と肌をさらけ出すなんて!さてはドンを誘惑する気ですね!?
甘露寺蜜璃
甘露寺蜜璃
えぇ!?私、そんなつもりじゃ……
袋を被った男性、ロレンツォにボロクソに言われて甘露寺はショックを受ける。
ヴァレンティーノが「まぁまぁ落ち着くがよかろー」と、ロレンツォを宥める。
だが、伊黒は黙っている訳には行かず、甘露寺を庇うようにしてロレンツォの前に立って反論する。
伊黒小芭内
伊黒小芭内
甘露寺がヤギ何かを誘惑するわけないだろう。言い掛かりも大概にしてもらおうか。大体、甘露寺を不埒な女と一緒にするな!
ロレンツォ
ロレンツォ
そこまで必死になるなんて……さては貴方……
伊黒は甘露寺を好いている。
しかし、当の本人には自分の気持ちは伝えていない。初対面であるロレンツォに勘づかれてしまったか?と、伊黒はハッとして冷静になる。だが、ロレンツォが次に発した言葉は予想だにしない台詞だった。
ロレンツォ
ロレンツォ
そこの娘を庇い、彼女を攻略ヒロインからわざと外すようにした上で貴方がドンを狙いに……!?
伊黒小芭内
伊黒小芭内
何故そうなる!?そんなわけないだろ!
“ひろいん”が何かは知らないが、言って居ることは何となく予想ついたからな……!
ロレンツォと伊黒の言い合いを階段から黙って傍観していたシロ達は、困ったような表情をしていた。
シロ
シロ
なんか、変なのがまた来ちゃったね。
柿助
柿助
しかも今度はヤギと袋か……。喋る動物って他の世界にも意外と居るんだな。
エリザベス
エリザベス
『キャラがダブる』
芥子
芥子
というか伊黒さん、反論しまくりですね。
ルリオ
ルリオ
あの伊黒って人、俺達といる時あんま喋らなかったけど……バレバレなんだよなぁ。甘露寺の嬢ちゃんが好きだって。

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