エリザベスを連れ廊下を進んでいた伊黒達。
廊下の外側から左右同時に破壊音が聞こえ、シロ達がビクッとする。
因みに、この時チーム1はホールで怪人と闘っており、チーム2は神代と神楽の喧嘩が勃発していた。破壊音はその二チームによる音なのだが、そんな事伊黒達は知る由もない。
廊下を歩いていると、次第に廊下は大きく広がり、上に行く階段と下に行く階段。また、左右には他の道がある。
何処に進めば良いか分からず、伊黒達は立ち止まってしまう。
困ったように伊黒が呟くと、左右にあった廊下から大人数で迫って来るような、激しい足音が近付いてくる。
シロ達がエリザベスや伊黒、甘露寺の後ろに隠れ、伊黒と甘露寺は刀を構える。
天人がぞろぞろと現れ、シロが「あれ何!?」と天人達を見ていい、エリザベスが簡単に天人の説明をする。
天人が宇宙人である事を知り、伊黒達は驚くが、そうしている間に天人が襲いかかってくる。
伊黒が呼吸を使い、それに続いて甘露寺も呼吸を使用する。
相手が鬼じゃないという事で、伊黒と甘露寺はあえて攻撃を外し、その勢いで天人達を吹き飛ばす。そして「上に行け!」といい、シロ達は急いで階段を上る。
芥子が背負っていた櫂で天人達を投げ飛ばし、シロ達に「皆さん。私達は獄卒です!あの宇宙人達を亡者だと思って罰を与えるですよ!」と喝を入れる。
甘露寺達の攻撃で砕けた壁や床の欠片を手一杯に持ち、柿助がルリオの背中に乗る。
ルリオが飛び、上から柿助が持っていた欠片を勢いよく投げる。
階段で反撃し始めたシロ達を見て、伊黒が「意外とやるな……」と少し感心する。
甘露寺と一緒に伊黒が階段の方に近付くが、「そこをどくがよかろー!」と、誰かの声が聞こえて小さな黒い弾が投げられる。
その弾が何かを直ぐに察した伊黒は「おい!階段から離れろ!」と大声を上げる。
次の瞬間弾が爆発し、一気に天人達が吹き飛んだ。
喋るヤギに、袋被った謎の男性の声だけが広い廊下に響き渡り、伊黒や甘露寺、シロ達や芥子は呆然とその一匹と一人を見ていた。
何故喋る動物や被り物のオッサンキャラがこうも多いのか、と疑問になる伊黒の隣で甘露寺が「動物に好かれてるのかしら。伊黒さん」と呟きながら伊黒に視線を移す。
倒れている天人を避けるようにヴァレンティーノが伊黒の前に立つ。そして、短い手を伊黒と甘露寺に向ける。
甘露寺の前だからなのか、多少のイラつきを抑え、伊黒は不機嫌そうにしながらも「伊黒小芭内だ」と名前を言う。
ヴァレンティーノが甘露寺にデレる瞬間を見た伊黒はキッとヴァレンティーノを睨みつけるが、反応していたのは伊黒だけでは無かった。
袋を被った男性、ロレンツォにボロクソに言われて甘露寺はショックを受ける。
ヴァレンティーノが「まぁまぁ落ち着くがよかろー」と、ロレンツォを宥める。
だが、伊黒は黙っている訳には行かず、甘露寺を庇うようにしてロレンツォの前に立って反論する。
伊黒は甘露寺を好いている。
しかし、当の本人には自分の気持ちは伝えていない。初対面であるロレンツォに勘づかれてしまったか?と、伊黒はハッとして冷静になる。だが、ロレンツォが次に発した言葉は予想だにしない台詞だった。
ロレンツォと伊黒の言い合いを階段から黙って傍観していたシロ達は、困ったような表情をしていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!