創造世界の大迷宮へと送られた面々は、天の声により、状況説明をされ、自分達の置かれた状況、これからどう行動するべきかを理解した。
勿論、こんな馬鹿げた神様の暇潰しに巻き込まれ、大半は文句を言っていた。
また、“PSYCHO-PASS”の世界から来た者達は、この世界で何があろうと、何をしようと、色相が濁ることが無いので心配はいらないという説明もあり、数名はひとまず安心した。
最初に言葉を発したのは“チーム2”の霜月美佳課長。彼女はPSYCHO-PASSの世界の住人。
そして、彼女の前には彼女の仕事場である公安局刑事課の監視官や執行官に追われてドミネーターで裁かれたはずの、嘗ての凶悪犯罪者達が立っていた。中には彼女の知らない男性も居る。
元監視官であり元執行官だった現・外務省の狡噛慎也が片手で頭を抱えながら深い溜息をついた。
そんな彼の隣で腕を組み、立っているのは嘗て狡噛が追っていた凶悪犯罪者、槙島聖護。彼は“免罪体質者”と呼ばれる者で、ドミネーターでは裁けなかった故、狡噛がリボルバーで槙島を射殺し、その後狡噛が逃亡した過去がある。
因みに、殺し、殺された関係なのはこの二人だけでは無い。
遠くを見つめる槙島の前に一人の人物が立つ。
声を掛けてきた男性を見るや否や、槙島は皮肉めいた笑顔を薄らと浮かべた。
もう一人、別の男性の声が聞こえて槙島は一瞬だけ目を見開くが、先程の皮肉めいた笑顔とは違い、柔らかい笑みを見せた。
チェ・グソンと呼ばれた男もまた、フッと軽く笑い、槙島の隣に立った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!