第2話

病院
1,681
2018/08/17 06:10
俺はグク。
高校2年生
って言っても学校には行ってない。
何故かって?
それは俺が

” 病気 ” だから
俺は今不安で胸が押しつぶされそうだ
明日手術を受けるからだ
医師の話によれば
命に関わる病気ではないし、病気が進行していたわけでもない
むしろ発見が早く、手術も難しものではないので
「あなたはラッキーですよ」
と言われたほどだった
それでも俺は不安で安心ができない。
初めての手術。初めて体にメスを入れられる。
心配になるのも仕方ない。
けど、俺の不安の理由はそれだけではない。
手術が決まり、入院してからというもの、俺は自分を取り巻く不穏な空気を感じる
みんなが何か重要なことを隠している。そんな気がする
家族に何か隠しているか、問いだしたが
「隠していることはない」
と言う
その目は嘘をついていないように見えた
しかし看護師達は違う
グク
グク
手術は難しものでないんですよね?
看護師
はい。
看護師
なので助かる確率が高いですよ
グク
グク
けど、やっぱり不安です。
看護師
大丈夫ですよ(*´ω`*)
俺が不安を訴えると
と笑顔で答えるが、どこか上の空というか何かをごまかしているようにみえるのだ。
たまに、俺の方を見ながらヒソヒソ話をする看護師達を見かける
どうにも納得出来ず
グク
グク
医者にもっと詳しく話を聞きたい
と、頼むと
今度は
看護師
うちの病院は最新の設備が整っています。
とか
看護師
何が起きても対応できますから
だの言われる
そう聞いた瞬間はホッとするが、よく考えたら「何か起こる」ことを前提にしているということではないだろうか。
ベテランは口が堅いので、新人を問いつめたら泣きそうな顔になり走り去ってしまった。
やはり、実は俺は重大な病気ではないのか?
それも世界で初めて発見されたような、とんでもない病気なのでは…
俺の不安はつのるばかりだ。
そして手術前日
グク
グク
眠れない
グク
グク
散歩でもするか
俺は眠れずベッドを抜け出し院内を歩いていた。
ナースステーションの前を通ると
師長を見かけた。こっそりと中をのぞきこむと、医者と師長が話していた
夜の静けさのため二人の小さな話し声がはっきりと聞こえた
俺は二人の会話を聞き、真実を知ってしまった
グク
グク
💭逃げなければ!
おれは走って玄関ホールまでやって来た
だか
入院中で体が弱っているためか、手術前で食事を抜いたためか、体が思うように動かず
目まいもしてきた
疲れて座り込んでいるところを顔なじみの看護師に見つけられてしまった
看護師
グクさん。どうされたんですか?
グク
グク
逃げるんです!
看護師
なぜです?明日は手術なんですよ
グク
グク
だからです!
グク
グク
さっき師長さんが言ったんです!
グク
グク
「簡単な手術だから心配ありません。きっとうまくいきますよ」って
看護師
そのとおりですよ。何をそんなに怖がっているんですか?
グク
グク
師長さんは俺にそう言ったんじゃありません!
医者にそう言ったんです
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ナースステーションでの会話
医者
やっぱり不安なんです。はじめての手術ですから…
医者
僕緊張すると腕の震えがとまらなくなるんですよ!
師長
大丈夫
師長
簡単な手術だから心配ありません。きっとうまくいきますよ
医者
頑張ってみます
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
グク
グク
だから逃げるんです。
看護師
大丈夫ですよ。言ったじゃないですか、何が起きてもフォローするって
看護師
あの先生は、この病院の跡取り息子だから失敗は許されないんですもの。
看護師
どんなことになったとしても、失敗するなんてありえないんですよ
それを聞いたら全身から力がスーッと抜けていくのを感じた
そういえば、さっき変な時間に注射をさされた。
もう眠くて目を開けていられない
目がさめたときには手術は終わっているのだろうか?
それとも……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー終わりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

プリ小説オーディオドラマ