俺はグク。
高校2年生
って言っても学校には行ってない。
何故かって?
それは俺が
” 病気 ” だから
俺は今不安で胸が押しつぶされそうだ
明日手術を受けるからだ
医師の話によれば
命に関わる病気ではないし、病気が進行していたわけでもない
むしろ発見が早く、手術も難しものではないので
「あなたはラッキーですよ」
と言われたほどだった
それでも俺は不安で安心ができない。
初めての手術。初めて体にメスを入れられる。
心配になるのも仕方ない。
けど、俺の不安の理由はそれだけではない。
手術が決まり、入院してからというもの、俺は自分を取り巻く不穏な空気を感じる
みんなが何か重要なことを隠している。そんな気がする
家族に何か隠しているか、問いだしたが
「隠していることはない」
と言う
その目は嘘をついていないように見えた
しかし看護師達は違う
俺が不安を訴えると
と笑顔で答えるが、どこか上の空というか何かをごまかしているようにみえるのだ。
たまに、俺の方を見ながらヒソヒソ話をする看護師達を見かける
どうにも納得出来ず
と、頼むと
今度は
とか
だの言われる
そう聞いた瞬間はホッとするが、よく考えたら「何か起こる」ことを前提にしているということではないだろうか。
ベテランは口が堅いので、新人を問いつめたら泣きそうな顔になり走り去ってしまった。
やはり、実は俺は重大な病気ではないのか?
それも世界で初めて発見されたような、とんでもない病気なのでは…
俺の不安はつのるばかりだ。
そして手術前日
俺は眠れずベッドを抜け出し院内を歩いていた。
ナースステーションの前を通ると
師長を見かけた。こっそりと中をのぞきこむと、医者と師長が話していた
夜の静けさのため二人の小さな話し声がはっきりと聞こえた
俺は二人の会話を聞き、真実を知ってしまった
おれは走って玄関ホールまでやって来た
だか
入院中で体が弱っているためか、手術前で食事を抜いたためか、体が思うように動かず
目まいもしてきた
疲れて座り込んでいるところを顔なじみの看護師に見つけられてしまった
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ナースステーションでの会話
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それを聞いたら全身から力がスーッと抜けていくのを感じた
そういえば、さっき変な時間に注射をさされた。
もう眠くて目を開けていられない
目がさめたときには手術は終わっているのだろうか?
それとも……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー終わりーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。