…ん
___ちゃん
体に何ヶ所か巻かれている包帯
治るわけがない
一瞬お茶子ちゃんの目線がはずれた
いつも目を見て話してくれるお茶子ちゃんが
なぜか目線をそらした
けど、ソファーの前にあった鏡を見て悟った
自分でも自分じゃないかと思うくらい動揺した
オッドアイのように綺麗に色が別れてるわけでもなく
ただ左の瞳の下側がグラデーションのように青く染まっていた
________〝治らない〟________
必死に口角を上げた
医者は嘘をつかないから、残酷で悲しくなる
お母さんの時もそうだったのに
毎日が楽しくて楽しくて
ヒーローの本質を忘れてしまう
いざって時に動けないんじゃヒーローは務まらない
個性に頼ってちゃヒーローは務まらない
自主練の日に相澤先生の言っていたことがやっと分かった
あの時私は、間に合わないんじゃなくて
諦めたんだ
これはきっとあの時諦めた罰だ
さっきの夢も…
「バタン______________」
左目をおさえながら外に出ようと廊下を走った
けど、
捕まった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!